
河合塾 鹿子島 康二 先生
現代文を中心に国語科全般の授業を担当。モットーは「語学の才能=努力」で、わかりやすい指導は定評がある。『螢雪時代』特集記事のほか、「大学受験パスナビ」では入試問題の解説を執筆。

課題文の分量や設問数は、制限時間や合格ラインの得点と関連づけて初めてその厳しさがわかる。また、課題文の難易度により分量の負担はまったく異なる。上記の「壁」の高さを把握するには、知識を得るだけでなく体感してみることだ。
古文・漢文の出題の有無は当然学習の負担に直結する。さらに言えば、古文では和歌・俳諧の出題があるかどうか、出典が平安時代か江戸時代かで必要な知識や語彙は大きく異なるし、同様に漢文では漢詩の出題の有無も負担に影響する。
記述式問題の出題があるかどうか、指定字数はどの程度か、現代文ならば要約や論述問題があるのか、古文・漢文なら和歌や漢詩の鑑賞などの高度な出題があるかなど、各分野の重要対策ポイントになる記述式問題の傾向を把握しておきたい。
漢字や文学史など知識問題の出題傾向と配点比率は、早期に確認したい。知識事項の習得には時間がかかり、直前期に出題に気づいても遅いからだ。また、合格ラインが高い大学では、最終的に知識問題の得点が合否を分けるケースも多い。
出題傾向の分析のためには、最低3年分の問題に目を通したい。直近の問題は直前期にとっておきたいが、それでも1年分は演習し、古文・漢文の出典、出題形式、和歌の修辞、句法などの扱いを確認しよう。他方、現代文の難易度は軽く目を通す程度ではわからないので、腰を据えて解いたほうがよい。現代文は過去問演習が受験勉強の軸となるので、多く取り組んでも無駄にはならない。また、共通テスト第3問の実用文は、演習後に解説を読むのが分析の早道だ。

受験勉強は端的に言えば弱点を消す作業だ。例えば、現代文で抜きん出た高得点がとれたとしても、古文か漢文で3~4割しかとれなければ合格点突破は厳しい。現時点で5割以上(国公立大では5割弱)を全分野で得点できるか確認しよう。
現代文の難易度は課題文のレベルによるので、1ランク下の大学なら短時間でほぼ満点をとれるのに、「志望校の過去問は3行目でお手上げ」ということも多い。これは制限時間が厳しいという悩みにも直結するため、早めの対策が必要だ。
私立大や共通テストでは、古文の単語や文法、漢文の基本構文や再読・返読文字や句形の設問が配点の5~7割を占める。国公立大の記述式問題でもそれらが部分点要素になる。演習時にこれらの知識を逐一思い出せるかどうか確認しよう。
難関私立大の記述式問題は、得点を最も大きく左右する設問になる。また、国公立大の記述式問題では、半数が標準的なレベルの設問だが、これをとりこぼすと合格できない。いずれも、現時点で5割前後の得点が可能かどうかを確認したい。

「ランクを下げた問題で学力を確認する」「問題点を洗い出すために志望校の問題に挑む」「制限時間を設定せずに精読する」「制限時間内に解く」など、演習を行う前に目的を設定して作業をイメージしておこう。
POINT
目的に即してレベルや解答時間などを決める
設定した目的に即して演習する。到達度を確認する際には、途中で教材を参照せずに解き切り、正解率を確認する。これと異なり、学力養成が目的であれば、不明な点が生じる都度、教材に当たり調べてもかまわない。
POINT
演習のたびにその目的を自覚・イメージする
解説を読み、現代文は趣旨・構成・解答の根拠などの理解について確認。古文・漢文は語彙や文法・修辞の理解を中心に振り返る。「正解したけれど、よくわかっていなかった」という学力不足の状態を放置しないこと。
POINT
文章理解や知識・解法を丁寧に点検する
洗い出した問題点は手持ちの教材を使って修正し、不足知識はインプットする。「どのようなミスをしたか」は、逐一ノートにメモしておくとよい。このノートを振り返り、次の過去問演習のテーマを決めると効果的だ。
POINT
「分析→改善→検証」を繰り返す

現代文は今すぐ、古文・漢文も文法事項の習得が終わり次第、過去問演習を始めよう。最初は志望校よりもランクを下げ、1題ずつ時間無制限で解く。そして、徐々に問題のランクを上げ、時間も意識できるようにして、11月頃には1年分を通しで制限時間内に演習する。直前期に過去問演習を始めても、気づいた問題点に対処する時間はなく、焦るだけで終わる。時間のある今から取り組んでこそ、過去問演習の効果を最大化できるのだ。


共通テストの過去問は数少ないので、本試験・追試験もすべて解いておきたい。個別試験は少なくとも直近の3年分は解くべきだが、現代文は入試の過去問を軸に受験対策を進めるので、手持ちの過去問を解き終えたら、同レベルの類問を活用することになる。古文・漢文は問題集でも受験対策を進められるので、1年分通しの演習の際に現代文と並行して数回解くのが標準的な回数だと言える。


自分の間違いを記録し、ミスの傾向を把握するとともに、その場で修正することが重要だ。9~10月は得点率を気にするよりも、自分の犯したミスを確認し、これまで用いてきた教材で修正することを優先したい。ミスは往々にして繰り返されがち。「間違いノート」を作っておけば、自分の傾向を自覚でき、それを防げる。また、自分のミスに気づくには、解説の熟読がカギ。答え合わせしてすぐ次の問題に移るような浅い学習をしないこと。


入試現代文は、長大で難解な課題文と、きわどい設問の攻略が最大の対策テーマ。これは問題集では十分体験できない。現代文の入試対策は、志望校の過去問や他大学の類問を軸に行いたい。古文・漢文の入試対策は、語彙や文法などの知識事項、和歌・漢詩などの修辞の理解・鑑賞が重要だが、これは問題集でも対応できる。過去問が少ない共通テストは、問題集の利用を考えよう。特に第3問の実用文は解説を熟読し、解法を会得したい。

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