河合塾 鹿子島 康二 先生
現代文を中心に、国語科全般の授業を担当。モットーは「語学の才能=努力」で、わかりやすい指導は定評がある。『螢雪時代』特集記事の執筆のほか、「大学受験パスナビ」では入試問題の解説を執筆。
早急に着手すべきは、(1)現代文・古文・漢文の基礎知識の不足を補うこと、(2)現代文の精読法を習得すること、(3)内容を自分なりに噛み砕いてイメージを把握する読み方を習得することである。古文では300語程度の古文単語と助動詞・敬語などの文法知識が、漢文では基本構文と再読・返読文字の知識、使役や反語などの基本的な句形の理解が必要だ。現代文では重要語のほか、共通テスト評論文レベルの問題について、傍線を入れるなどしながら要点を把握する読み方を習得したい。これらの基礎学力が仕上がると、問題演習の効果が格段に違ってくる。また、問題演習では、現代文は設問解説を、古文・漢文はそれに加えて現代語訳を精読しよう。この時期の学習では、正答率よりも本文論理や選択肢を正しく理解し、正答に至る論理的根拠が見出せているかを重視したい。
古文の単語や文法の知識、漢文の基本構文や句形は習得したのに文章が読めないというのは、文章についてのイメージが形成できない時の典型的な症状だ。漢文では漢字ばかりが並んでいる文章に対する忌避感があるケースもあり、この場合には語彙力不足も重なるのでやや症状が重い。時間がとりやすい1学期後半から夏休みは、この弱点を解消する好機だ。問題集の文章について一文ごとに主語を確認し、状況をイメージして正しく把握できる学力を身につけよう。2学期から過去問演習に取り組む際に大いに役立つはずだ。
これは語彙力不足の典型例と言えよう。対策の1つは、用語集を使って評論文の重要語を習得すること。もう1つは、「ここが要点」という文の内容を自分なりに噛み砕いて理解できるようにすることだ。「本当はよくわからないが、そう書いてあるからこれを選ぶ、あるいは抜き書きする」という解き方では、難しい問題になると正解を得ることができない。難関大の現代文では語彙レベルの高さがハードルになるので、演習する問題のランクを少しずつ上げていき、志望校の課題文が読みこなせるところまで到達させる必要がある。
模試では成績が数値に明確に表されるので深刻に悩む人もいるが、もし「時間さえあれば正解できる自信がある」なら心配はいらない。要するに制限時間内に解ききれるレベルに達していないだけで、深刻なトラブルとは言えない。これを深刻に受け止めて無理やり時間内に解き終えようとすると、歪んだ解き方がクセになって、かえって学力が停滞してしまう。「いずれ間に合うようになる」と腹をくくり、現在使っている用語集や問題集をしっかりと消化して、夏休み中に応用の利く基礎力を蓄えることに専念しよう。
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