代々木ゼミナール 中川 雅夫 先生
丁寧で明快な講義と個別の質問対応など面倒見のよさは定評がある。『物理の良問問題集』『物理 標準問題精講』『物理 思考力問題精講』などの著者で、『全国大学入試問題正解 物理』(いずれも旺文社)の解答・校閲者を務める。
物理の公式や関係式は、単に丸暗記してもいざ使うとなると難しい。スポーツであれば、簡単なトレーニングの積み重ねで基礎体力がつき、その後の大きな飛躍が期待できる。しかし、物理では基礎力だけで入試問題を解くのは難しく、解き方も身につけておくことが不可欠だ。そのため、典型問題や頻出問題を中心に問題を解き、解答を見ながら「どう解いたか?」を確認していこう。解答だけでは解き方のポイントがつかめない場合は、解法の詳しい参考書や問題集を使うとよい。この際に注意すべきは、単に解法を覚えるのではなく、「なぜそうするのか?」を自分なりに納得して進めることである。物理の考え方に慣れてきたら、標準レベルの問題に幅広くあたって考える力を養成する。この段階でも、答え合わせをして終わりにせず、解説をしっかり読んでよりよい解法を模索したい。
基本問題をサクサク解ける力をつけることは、物理に慣れるために必要な過程である。しかし、入試では公式や法則を使いこなすことが必要不可欠だ。基本問題でも「何をやっているか?」「何のためにやっているか?」を意識して取り組もう。問題を読んで「~だから、~すればよい」と考えられるようになれば、入試問題は基本問題の組合せという側面もあるので、解ける設問が増えてくる。
解き方がわかり、式もしっかり立てられても、計算して正しい答えが得られなければ得点にならない。問題を解いて正答できたからといって終了にせず、計算を振り返ってみよう。「もっと上手な計算法はなかったか?」「計算ミスはどうしたら防げたか?」など、見直すことだ。また、計算時間を短縮するために、解法を工夫したり式変形の数を減らすなど、自分に合う方法を探してみよう。
実験データの処理に関する問題は、実際に実験をしてレポートを書いた経験がないと難しく感じるだろう。しかし、実験考察問題の多くが、問題の設定が実験というだけで、通常の問題と同様に考えれば解けるように作問されている。実験として具体的な現象を扱っていても内容自体は普通なのだから、演習を重ね、考えるポイントを見出して対応の方法や手順に慣れることで解決できるはずだ。
実は難しい問題ほど「物理のどのような力を試そうとしているか?」という意図は明確なため、問題を読んでそれがわかれば解法の糸口は見つけやすい。作題者の意図を見抜く力を養うには、単に頭から順に考えて解くだけでなく、解き終わってから全体を見直して「問題の物理の流れ」を確認してみるとよい。「問われている物理は何か?」を見抜ければ、「初見」という概念はなくなる。
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