『螢雪時代』アドバイザー 庄司 憲仁 先生
『全国大学入試問題正解 化学』の解答者であり、『螢雪時代』記事のほか、『10日間完成 文系のための分野別 センター化学基礎』(いずれも旺文社)、数研出版の教科書・チャート式など多数執筆している。
苦手分野を克服するためには、「どの分野のどの部分が苦手か?」を大雑把でなく詳細に把握することが必要不可欠である。例えば、「酸・塩基が苦手」ではなく「中和滴定のうち逆滴定の計算が苦手」という具合に、詳細な項目を明確にしてリストアップしよう。リストアップする項目は、定期試験や模試のほか、志望校の過去問演習で解けなかったものなどが、苦手分野に該当すると思ってよい。苦手分野の詳細が正しく把握できたら、毎日の予定をぎっちり詰めるのでなく、週単位で無理のないスケジュールを立てること。その時、項目の1つずつに対して、確実に身についたか確認しながら進める必要がある。できれば「得意」のレベルまで達すると最良である。ただし、対策は必ずしも予定通りに進むとは限らないので、1週間ごとにスケジュールの見直しをしよう。
化学は数学や物理などと異なり、暗記事項が意外と多い。化合物の化学式や名称のほか、有機分野の構造や反応などだ。しかも、理論化学であっても複雑な問題では、その知識が欠けていると途中から解き進められなくなってしまう。そのため、必要な暗記事項は夏休み終了までに完成させておきたい。暗記ではイメージを活用しよう。無機分野の陽イオンの系統分離や有機化合物の反応系統図などは、最初に資料集などで図・写真を見てイメージとして記憶し、その後、詳細な本文や語句を暗記するという進め方が効果的だ。
複雑な問題は、なんとなく解いているうちに正答が得られると「これで終わった!」と満足してしまったり、まったく歯が立たない問題でも、解説・解答を見て「わかった。できる!」と即断してしまいがちだ。これは解けたつもりになっているだけで、実際は内容を詳細に理解できていないことが多い。問題演習は、できるだけ時間をかけて丁寧に解くほうが、後々に効果を発揮する。すぐに解けなくても、資料や類似問題を参考にしながらなんとか自力で解決する努力をしてほしい。解説・解答に進むのは最終段階だと考えよう。
これまでの演習のやり方を振り返り、欠点があれば早急に修正して、今後の演習をより効率的なものにしたい。なるべく無駄のない、かつ丁寧な演習を通して、初見の問題でも短時間で内容を把握し、完璧に解けるようにすることが大切だ。反応速度や化学平衡などでは、平易ながら手間のかかる数値計算が必要な場合があるが、面倒だからといって普段の演習で計算を電卓に頼るのはNGだ。試験本番で四則計算に時間をとられないためには、日頃の演習は意地でも筆算でやり通して速算力を身につけておこう。
この続きを読むには
に登録(無料)が必要です
さらに旺文社のサービスで
この他にも便利な機能が!
詳しくはこちら