河合塾 上住 友起 先生
東京大・京都大などの志望者が受講する世界史論述から共通テスト・私立大の講座まで担当し、大きな支持を得る。『一問一答 世界史 ターゲット4000』(旺文社)など著書多数。近年は実業家としても注目される。
世界史の成績が伸び悩む人に最も多いのが、苦手分野を多く抱えているケースだ。実は基礎的な学習であっても全分野を穴やモレなく網羅できれば、成績は上がる。得意分野を伸ばすより苦手分野の失点を防ぐほうが、効率的に得点を伸ばせるのだ。一見難しく見える国公立大の論述問題も、必要な内容は教科書に準拠して作られているため、まずは知識が曖昧な箇所から教科書の熟読に取り組もう。その際に重要なのが、知識を定着させるためにアウトプット作業を並行することだ。一問一答集や問題集でトレーニングを重ねよう。また、特に難関私立大志望者は用語集の熟読も必須である。歴史的事象の意味が問われる問題を苦手とする受験生も多いので、用語や年代を丸暗記するような学習を改めて、日頃の学習から歴史的事象の意味・内容まで理解を深めることを心がけよう。
まず、自分の苦手・弱点の時代やテーマをはっきりさせよう。教科書の目次を見て自問自答しながら各分野の習熟度を〇△×で評価し、×だった箇所から教科書の熟読を始めるとよい。その際に気をつけたいのは、苦手をいきなり得意に変えようと急がないこと。負荷が大きすぎると、苦手意識が余計に強まってしまう。「この分野は3日でやろう」などと目標時間を設定したうえで、基礎的なレベルの知識の習得・整理から始め、一問一答集で確認しながら攻略を目指そう。課題を明確にして集中することが何より効果的だ。
入試では、1つのテーマを古代から現代までの時間軸で問うたり、同時代の世界を鳥瞰しつつ各地域の絡みを問う問題も少なくない。しかし、受験生の多くが政治史中心の細切れ的な学習に偏っているため、全時代・全地域を対象とした問題への対応が難しい。そこで、政治史だけではなく文化史・社会経済史にも注目しながら、教科書や資料集(図説)で各時代の世界の結びつきを確認してほしい。常に世界的な動きを意識しつつ、例えば1つの制度に焦点を当てて時代を越えた変遷を追うなど、俯瞰的な視座を養う学習を心がけよう。
空所補充問題や下線部を尋ねる単答問題はそれなりに対応できるが、歴史的事象の内容に関する問題や正誤判定問題になると自信をなくす受験生が多い。これは、日常の学習が用語の暗記や一問一答的な学習に重点を置きすぎているためだろう。もちろん用語の暗記も大切だが、近年の難関私立大では正誤判定問題が主流になっているので、日頃から教科書の本文のみならず欄外の解説にも目を通し、用語集などで用語の意味を理解するとともに簡単に説明できるような学習を心がけてほしい。これは論述対策にも有効である。
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