
東進ハイスクール 志田 晶 先生
東進ハイスクール、東進衛星予備校数学講師。大学院生時代に予備校の教壇に立って以来、幅広い層より圧倒的な支持を得ている。『大学入学共通テスト 数学Ⅰ・Aの点数が面白いほどとれる本』(KADOKAWA)など著書多数。
志望校の過去問分析で大事なことが2つある。1つ目は、出題傾向を知り、単元ごとの勉強のウエイトを変えること。頻出テーマ・分野はウエイトを高く、あまり出題されない分野は低くすべきだ。2つ目は、合格に必要な得点率を知り、そこに到達する戦略を立てること。得点率が高い場合は、落としてはいけない問題で確実に得点するため、典型問題の徹底的な演習が重要になる。一方、得点率が低い場合は、部分点をとる戦略が有効だ。


例えば、東大と京大では、受験生のレベルはほぼ同じであっても、合格に必要な得点率は異なる(京大のほうが高い)。過去問を解き、〔A〕必ず解かなければならない問題、〔B〕合否を分ける問題、〔C〕解けなくてもよい問題に分類し、何問くらいとるべきなのかを把握しよう。なお、〔C〕であっても、解答を読めばわかるレベルに仕上げる必要がある。


出題頻度の高い単元やテーマを得点源とするためには、出題頻度を調べて問題の切り口(例:積分=「絶対値の入った定積分」「2次以下の曲線の面積」など)を分類し、問題演習時に重点的に取り組むのが有効だ。また、本番で問題の難易度を即座に判断できるよう、過去問でその単元・テーマが出題されたときに難易度を意識するようにしよう。


理系の学部では、微分・積分の出題割合を調べておき、出題傾向に合わせた対策をしよう。割合が高い場合は、試験時間の多くを計算に割くことになるため、計算力勝負になりがちだ。特に積分はその傾向が強く、極限では計算の技術が必要になることが多い。また、出題割合が少ない場合は、計算練習は少なめにして他分野の対策に時間を充てよう。


個別試験では、確率、数列、ベクトル、整数、微分・積分、図形と方程式がメジャーであり、データの分析、図形の性質といったマイナー分野は対策が疎かになりがちだ。志望校におけるマイナー分野の出題歴をチェックし、出題歴があればしっかりと対策しよう。なお、志望校では出題歴がなくても共通テストでは重要な分野であり、対策は必須だ。


問題量が多く時間内に解き切るのが難しい場合は、時間戦略が重要になる。過去問1年分を制限時間内でどのくらい解けるか、トライしてみよう。解き終わらない場合は、「大問1は小問集合形式かつ答えのみ書けばよいので、時間をかけてはいけない」など具体的な方針を立て、完答する問題と部分点をとりにいく問題の判断基準も身につけておこう。

典型問題や合否を分ける問題の分類
典型問題が多く、合格ラインは高そう。5題のうち最低2~3題は完答しないと合格は厳しそう。
出題頻度の高い分野・テーマ
大問3の確率漸化式は3~5年に一度、大問4の微分・積分は毎年出題。大問5の空間ベクトルも頻出。
微分・積分の出題割合
全体的に計算は少なめ。大問4の微分・積分は易しいが計算力勝負。大問2の恒等式も計算力が必要。
マイナー分野の出題頻度
2025年はマイナー分野の出題はほぼないが、数年に一度、初等幾何(図形の性質)が出題される。
時間と分量の関係
全体として分量はそれほど多くなく、全問解く時間は十分にある。ミスなく答案作成する力が必要。

まずやるべきは、基礎の補完だ。過去問演習の答え合わせをする際に、基礎の抜けや苦手な単元・テーマをメモしておき、教科書・参考書で復習しよう。次にやるべきことは、過去問演習で明らかになった頻出テーマの演習だ。分野別の参考書などを使い、問題のパターンや仕組みが理解できるまでやろう。また、計算(特に数学Ⅲ)に不安を感じた場合は、計算練習を多めにやっておきたい。加えて、この時期は答案作成にも気を配りたい。答案を書いたら先生や友だちに読んでもらい、正確に伝わるかを確認しよう。

□ 現時点での自分の得点と合格最低点との差は?
□ 制限時間内にどのくらいの問題を解けるか?
□ 典型問題(基礎知識不足)で解けなかった問題はあるか?
□ 計算ミスをどのくらいしているか?
□ 特定の苦手単元がないか?
□ 融合問題がある場合、対応できるか?
□ 採点者に伝わる答案作成ができるか?
□ 完全に白紙の解答がないか?

過去問演習は、遅くとも9月には始めたい。直近3年分は直前期にとっておき、それ以外の7~10年分を12月までにやろう。スケジュール的には1週間に1年分、週の前半に問題を解き、解答を確認してそこで見つかった課題を週の後半にこなすようにする。なお、1年分を通して解くのは1回のみでOK。あとは大問ごとに取り組もう。解いた問題が典型問題なら参考書で類題を探し、解けなかった問題は解答をじっくり読み込むこと。
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