
(株)プラスティー教育研究所 岸 誠人 先生
1989年、静岡県生まれ。勉強のやり方を教える塾「プラスティー」国語科主任。東大・京大をはじめとする難関国公立・私立大を志望する受験生の授業を毎年担当しながら、入試問題や学習法の研究を行っている。
文章読解が中心になる国語の試験は、題材となる文章が毎回異なるため、過去問分析には意義を見出しにくいかもしれない。しかし、文章の長さや難易度、設問形式には大学・学部ごとの明確な特徴があり、効率的な得点力アップのためには、試験の特徴を深く理解することが欠かせない。過去問を分析・演習することで、磨いてきた基礎力を志望校の試験形式に合わせてチューニングし、本番で発揮できる学力に高めることが大切だ。


過去問分析の第一歩は、各大問にかけられる時間を把握すること。「大問の数」と「題材文の種類(現・古・漢)」は、最も大切な分析項目だ。国公立大と私立大、また、文学部と他学部で傾向は大きく異なる。特に文学部では大問数が多く、古・漢の出題も多くなる傾向がある。自らの得意・不得意も加味しつつ、「1つの大問にかける時間」を見極めよう。


出題される文章の難易度やテーマの傾向をより細かく把握することも有効だ。テーマの傾向に合わせた背景知識を強化しやすくなる。大学・学部ごとに出題されやすいジャンルや文体の特徴を押さえておくとよい。受験生自ら分析するのは難しいことも多いため、過去問集の分析ページを参考にしたり、身近な先生に相談したりするのもよいだろう。


分析ポイント1・2は「文章」に関するものだったが、それと同様に大切なのが「設問」に関する観点だ。設問形式にも大学・学部ごとに明確な特徴が見られる。国公立大は記述式中心と考えればよいが、特に要求される文字数に着目しよう。私立大はマーク式がほとんどだが、設問形式が多様で記述問題を含むこともある。数年分の傾向を分析しよう。


古・漢の設問形式、問われる内容の確認も大切だ。国公立大は基本的に現代語訳と内容説明だが、私立大は基本的な文法問題から内容説明まであり、問われる形式も多様だ。例えば私立大では、「古文単語・重要表現の一部を空欄補充させる」といった問題も出題される。現代語訳から古語を答えるような練習も必要になるので、よく確認しておきたい。


国公立大の現代文の問題では、最終設問で「本文全体の趣旨を踏まえて」という条件が示されることが非常に多い。実質的に、本文全体の要約が求められているということだ。例年の指定字数を確認し、それに合わせた要約の練習を積んでおこう。まれに、自身の意見が求められる小論文的な要素のある設問もあるので、注意して確認しておきたい。

大問数と題材文の種類
大問数は3題、解答時間は100分。1題にかけられる時間は30分程度。
現代文の文章内容・テーマ
大問1の評論文のテーマに特定の傾向はなし。幅広い内容を読解できる知識・技術を磨く必要あり。
現代文の設問形式や記述の字数
大問1・2ともに制限字数は非常に少ない。30~50字程度で簡潔に解答をまとめる練習が必要。
古文・漢文の設問形式・内容
大問2では近代文語文が頻出。漢文訓読体に慣れ、近代についての現代文単語も要対策。
要約問題や小論文的要素の有無
大問3では評論文の200字要約が求められる。過去問演習に加え、200字要約の練習を積みたい。

過去問の分析・演習では、内容そのもの以上に「読むための知識・技術の到達度」を確認することを意識しよう。現代文で「読めた感覚」がほとんどない状態なら、読解技術や語彙・背景知識の理解に課題がある。問題演習はコンスタントに続けつつ、参考書でのインプットや本文要約の練習を増やすとよいだろう。読めたのに設問で正答できない場合は、出題傾向に合った形式の問題演習を重ねるとよい。古文・漢文では演習後に本文と現代語訳を突き合わせ、訳せなかった箇所の単語や文法知識を手持ちのテキストで復習しよう。

□ 各大問の解答順序・時間配分の戦略はどうするか?
□ 現・古・漢の分野別の正解率に大きな差があるか?
□ [現]筆者の主張をどの程度理解できたか?
□ [現]話題の流れや意味段落の区切りを理解できたか?
□ [現]選択肢問題で明確な根拠をもって選べたか?
□ [現]記述答案は模範解答の要素をどの程度満たしたか?
□ [古][漢]単語・文法・句法の問題でどれだけ正解できたか?
□ [古][漢]記述問題で自信をもって正確に品詞分解できたか?
□ [古][漢]現代語訳問題で単語の適切な訳を選べたか?

遅くとも8月中には過去問演習に1回取り組み、志望校の出題傾向を体感しよう。9~10月頃からは、傾向の類似した大学・学部や併願校の過去問を含めて、週に1~2年分を目安に演習を継続できるとベスト。必ず演習後の復習までセットで行い、文章の内容理解で満足せず、次の演習に活かせるように知識や技術を見直すことが大切だ。現代文は選択肢分析や記述の要素の再検討、古文・漢文は知識の復習を徹底しよう。

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