
どの都道府県にも名産品をはじめとする特長がある。個性を活かした、その地ならではの学びのある代表的な大学を紹介しよう。

日本随一の恐竜化石発掘地として広く知られる。30年以上の継続的な調査により、多くの恐竜化石が福井県から出土。国内最大級の地質・古生物学博物館「福井県立恐竜博物館」をはじめ、福井県民にとって恐竜は常に身近なものとして親しまれている。

福井県は、肉食恐竜の歯などが発見された1988年以降、継続的な調査を実施。2000年開館の「福井県立恐竜博物館」は今年、通算入館者数1500万人を突破し、県の一大観光コンテンツを造り出すことに成功している。
そんな中、県の取り組みの一環として、2013年に「福井県立大学恐竜学研究所」が発足。恐竜研究と大学教育を推進しつつ、海外研究機関との共同研究や論文発表に携わり、恐竜学の世界的な研究拠点となっている。

恐竜骨格を3Dスキャンしているところ。
かつてこの地球に確かに存在していた恐竜はどんな姿だったのか――。ロマンあふれる研究かと思いきや、学部での学びは単なる“ロマン”に留まらない。
「恐竜学部では、誰もが興味のある“恐竜”を入り口として自然科学を学べる」と学部長の西弘嗣先生は語る。たとえば、発掘調査をするためには地形や地質の変化・特徴から調査するべき場所を見極めることが不可欠。さらに、恐竜を通じて気候や自然環境なども含めた自然科学の知識・技術を修得することで、地球温暖化をはじめとする現代の諸問題の解決に貢献できる人材を育成するわけだ。

日本屈指の恐竜化石発掘現場である福井県勝山市北谷での発掘作業。

壊さないように慎重に作業を進めなくてはならない化石のクリーニングは、集中力が必要。
たとえば、人間の病気を調べる時、CTスキャンやレントゲンのデジタルデータを使って病巣を調べる。「同様に、化石をデジタル化することで内部の調査が可能に。昔、発掘されたまま、破壊できないことから調査不可能とされていた化石の再調査も可能になる」と西先生。また、一部分から全体像を3D再現し、博物館での展示など、観光・ビジネスにも活用範囲が広がるという。
さらに、のちのち活用しやすいデータを構築したり、データアーカイブを活用するスキル自体も、今後のデジタル化社会において恐竜に限らずどの分野でも強みとなるはずだ。

デジタル古生物学には特に力を入れている。化石をCTスキャンにかけ、デジタルデータ化したものを観察する様子。

岩石の割れ方や色、粒の大きさなどを、ルーペも使って観察する。
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