河合塾
中川 雅博 先生
3きょうだいの猫(戒・定・智慧)とともに、戦争倫理学をはじめとする東西思想の融合を試みる研究者。河合塾では公民科目の授業を受け持つとともに、大学では哲学系や倫理学系の講義を担当している。

2025年は大問数6・マーク数33。第1・2問が「公共」の共通問題、第3~6問が「倫理」の問題であり、2022年に公表された試作問題と同じ構成と難易度の出題だった。解答テクニックを排除して思考力・判断力を問うものとして、選択肢が多項目にわたる設問(第5問:問3)や、共通テストの本試験では初出題となる「2つの設問が連動する形式」の出題(第5問:問5)もあったが、「公共」の2問(第1問:問1・問4)以外は、「倫理」の知識と読解力があれば対処できる出題であった。出題形式も、「公共」分野の8問中4問、「倫理」分野の25問中16問がセンター試験同様の4択問題であり、取り組みやすいものだった。こうした傾向は、2026年も基本的に踏襲されるだろう。

出題予想
労働や職業選択をめぐる統計資料の読解を出題し、現代社会が直面している課題やその解決策を、受験生自らに発見させようとする。その導入として、ファシズム化した現代の資本主義社会の構造を分析したドゥルーズなどの現代思想の知識も問われるだろう。
対策
読解問題は演習を重ねることで慣れていくようにしよう。現代思想の設問は西洋近代思想と異なり、基礎的な知識や理解を問う傾向が強い。ただし、近年の教科書は現代思想分野で多くの思想家を取り上げており、まともにこれに取り組むと膨大な時間が必要になる。深入りはせずに、一問一答集などを利用して浅く広く知識を増やしておけば十分である。
出題予想
自然をコントロールしようとする傾向の強い西洋思想と、そうではない東洋思想とでは、自然環境に対する姿勢も異なってくる。それゆえに、国際会議の名称など環境保護対策の表面的な知識だけではなく、その根底にある宗教思想を対比させる出題が予想される。
対策
各宗教が自然や「愛」や絶対者(神)と人間の関係などをどうとらえているか、教科書の記述を基にまとめておこう。なお、キリスト教については、カトリックとプロテスタントと正教(東方教会)の基本的な事項の異同も確認しておきたい。また、イスラームに関しても、効率よく、頻出の六信五行の内実と出題ポイントを参考書で確認しておこう。
出題予想
例えば、生命倫理をめぐる問題では、生殖補助医療や臓器移植など特定のトピックに対して、「カントなどの義務論者ならどう考えるか?」あるいは「ベンサムなどの功利主義者ならどう考えるか?」などと、他者の立場に立って考える力が問われるだろう。
対策
共通テストは、「カント=定言命法を説いた義務論者」や「ベンサム=最大多数の最大幸福を説いた功利主義者」といった単純な暗記では太刀打ちできない。基本的な用語を覚えた後は、出題テーマや項目ごとに過去問をまとめた問題集を利用して、まずは思想に沿って考える力、さらに選択肢が多項目にわたる設問に対応できる力を育成しておきたい。
出題予想
「わび・さび」などの言葉を知っているかだけでなく、その思想的背景やどのような作品がその美意識を代表しているかまで問われるだろう。近代文学に関しては、作家と作品の結びつきだけでなく、彼らがどんな思想的な課題を抱えていたかまで問われる。
対策
教科書や資料集を基に代表的な技芸や文学作品を確認し、その担い手や作家を確実に結びつけられるようにしたい。その際、美意識に関しては「わび・さび」だけでなく「いき・つう」まで、文学者については頻出の北村透谷や夏目漱石や森鷗外はもちろん、島崎藤村などの自然主義や武者小路実篤などの白樺派の文学者まで確認しておこう。


演習開始時期:12月中旬~
目標使用量:6回分

(1)2025年の本試験で共通テストの形式や分量を知り、(2)2023年・2024年の本試験・追試験で知識のヌケを確認し、(3)本試験よりも意欲的な2025年の追試験で総まとめをする、という順番と目的で取り組もう。もちろん、時間的な余裕があればそれ以前の過去問にも取り組んでもよいが、まずは(1)~(3)で誤答した問題を詳細に検討し、ミスの再発防止に努めたい。

2024年は過去の形式に回帰しているような印象を受ける出題だったが、共通テスト受験生は常に新しい形式やテーマに対する耐性も養っておこう。それには、教科書や資料集のコラムを熟読し、倫理的な思考力を鍛えるのが近道である。赤字や太字がないと見もしないという受験生も少なくないが、こうした地道な努力が無用な失点を招く不安を払拭してくれる。
この続きを読むには
に登録(無料)が必要です
さらに旺文社のサービスで
この他にも便利な機能が!
詳しくはこちら




