『螢雪時代』アドバイザー
大竹 真一 先生
長年にわたり河合塾講師として受験生を指導。旺文社の『全国大学入試問題正解 数学』の解答者・巻頭言執筆者を務め、受験生向けの参考書・月刊誌、大学の教科書など多数の著書がある。また、大学でも教鞭をとっている。

2025年は、新課程で新たに加わった内容が出題された。「データの分析」では外れ値・仮説検定が、「場合の数と確率」では期待値が登場。また、難易度はそれほど高くないが、2次試験に近い内容の命題の真偽、証明、必要条件・十分条件、正誤の判定などに関する出題が見られた。数学Ⅰ・Aは「公式をうまく使って計算すればいい」というこれまでの印象から変わりつつある。「図形の性質」はこれまで平面図形が続いていたが、近年には出題されていない空間図形だった。形式的な側面では、2024年に比べて問題文はやや長くなった反面、誘導が丁寧になった。計算量も多くなく、全体として質的にやや難化したものの、誘導や計算量の点ではやや易化したと言える。平均点はほとんど変わっていない。

出題予想
2025年の冒頭の問題(第1問〔1〕)は、難しくないが複数の要素を含む問題で、因数分解を利用して2次方程式の解を求め、さらに必要条件・十分条件に関して問うという「数と式」「2次関数」「集合と命題」の3分野横断型の新たな傾向の問題だった。
対策
3分野横断型の問題は、分野にかかわらず多くのテーマが関わっていることに注目したい。その中で、一般的に「集合と命題」は他分野と融合問題が多いことを念頭に置いて対策を考えよう。「含む・含まれる」「真である・偽である」「必要である・十分である」などは熟知しておきたい。もちろん、全分野で万遍なく学力をつけることは言うまでもない。
出題予想
新課程で新たに加わった外れ値・仮説検定が、いずれも2025年に出題された。このほかは、日常の事象を題材とし、データの四分位範囲や分散、共分散・相関などを調べたり、データの傾向や事象の特徴について考察するというこれまでの傾向から変わっていない。
対策
外れ値・仮説検定に関しては、2024年以前の過去問がないことに不安を感じるかもしれない。共通テストの仮説検定は、教科書のレベルとさほど変わらないので、まずは教科書の内容を十分に理解すること。仮説検定の考え方とその手順を身につけ、模試や新課程の問題集で練習しよう。また、分散や共分散・相関係数などを求める公式も忘れずに。
出題予想
この分野の傾向は例年通りで、三角比に関する定理・公式、図形への応用、立体に関する計量などを含む図形の総合問題だ。2025年の第1問〔2〕は、(1)で丁寧な誘導によりR1を求め、(2)は(1)と同じ考え方でR2を求めるが、正解率は約2割と極端に低かった。
対策
上記の問題の場合、(2)の問題文で花子さんが「(1)のR1の求め方を参考にすればよさそうだね」と言っている。(1)で丁寧な誘導をした後に(2)を誘導なしで解かせるタイプの設問は、共通テストの定番である。会話中のヒントを読み流さずに、(1)の誘導の意味を考えながら解法を読み取り、そのうえで(2)を解くという読解力と思考力を身につけよう。
出題予想
2025年は空間図形の五面体を素材に、「3直線が1点で交わる証明」「2平面の交線」「平面と球面の交円」、さらに「平面幾何」「直交条件に関する命題の真偽の判定」を内容とする、証明や命題の真偽の判定などを含む質の高い出題だった。このような傾向は続くだろう。
対策
平面幾何の定理を中心とする従来の出題から大きく変化している。空間図形は、「空間での直線や平面、円の位置関係の把握」「図形に含まれる平面上での平面幾何的考察」をともに含むことを意識して、この2点から対策を進めよう。さらに、図形の証明、命題の真偽判定に見られるような、論証重視の出題傾向も念頭に置いておきたい。


演習開始時期:12月中旬~
目標使用量:8回分

2021年から2025年まで5年分ある過去問のうち、2022年は平均点が低く傾向に沿わないので参考程度にして、安定した内容の4年分を中心に演習しよう。2021年から2024年は選択問題が3題あるが、このうち「場合の数と確率」「図形の性質」の2題を必答問題と併せて1セットにするとよい。共通テストの特徴を知り、マークセンス形式に慣れることを目標とする。

2024年以前の共通テストには、新課程で加わった内容は含まれていないので、対策が気がかりな人もいるだろう。2025年の本試験・追試験はもちろん、新課程用に作られた模試は本番に最も近い形式や内容なので、これらを活用するとよい。また、共通テストに出題されるやや易しい証明問題などは、教科書に意外と多くある。定義や定理・公式の復習にも利用したい。
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