『螢雪時代』アドバイザー
庄司 憲仁 先生
『全国大学入試問題正解 化学』の解答者であり、『螢雪時代』記事のほか、『10日間完成 文系のための分野別 センター化学基礎』(すべて旺文社)、数研出版の教科書・チャート式など多数執筆している。

長い導入文やグラフから必要な情報を得たのち、複数の処理を通して解を導く出題形式が目立った。小問数やマーク数は微増したが全体的な量に変化はなく、レベル的にはやや難化したと言える。理論分野の出題では計算や図・グラフ問題が多く見られ、特に2つの事象を考慮しながらグラフを選択する問題は誤答を生みやすかった。目立ったテーマとしては、海水の淡水化、化学発光、地下水から得るヨウ素、原油の分留生成物と用途など、人々の生活に関連する題材が多く取り上げられた点で、これは今後も踏襲されるだろう。いずれも、問題文や図・グラフから必要な情報を導き出せたか、それを基に既習の知識を活用して計算やグラフの選択を正しく進められたかが、正解を導き出すポイントであった。

出題予想
例年、「化学基礎」の第2問には総合問題が出題される。内容的にはいくつかの小問に分かれ、比較的平易な選択問題も含まれるが、主要部分はかなり思考力を要する設問になっている。必ずグラフ問題が含まれ、データからグラフを描いて解答を得るタイプもある。
対策
まず、「化学基礎」の分野のうち数値計算が必要な理論化学を確実に身につけよう。溶液の濃度、反応の量的関係、酸・塩基と中和反応、酸化還元反応の量的関係などが主体だが、電池の関連分野である電気分解も説明付きで出題される可能性がある。総合問題の過去問は非常に少ないので、上記のようなグラフや計算を含む個々の問題で解法を習得すること。
出題予想
2025年の本試験で正答率が最低だったのは、第1問の問5‐bだ。一般に浸透圧では複雑な構成の問題がよく見られるが、これはファントホッフの法則にさらに「逆浸透」という要素が加わったためだろう。しかし、図をよく観察すれば、糸口をつかめたはずである。
対策
水溶液に関する問題では、蒸気圧降下、凝固点降下、沸点上昇、浸透圧がよく取り上げられる。また、気体の溶解度も含まれるだろう。凝固点降下では比較的平易なグラフ問題もよく見られるが、気体の溶解度や浸透圧では非常に複雑な構成の問題が登場したこともあるので、個別試験の過去問から該当するタイプを選んで演習を重ねておきたい。
出題予想
2025年の有機分野からの出題は、内容が基本的事柄であったにもかかわらず、正答率が著しく低かった。石油の分留生成物の名称や用途に関しての設問で、図と合わせて考えるのでさほど難しくはないはず。基本事項の暗記を軽く見たことが敗因と思われる。
対策
教科書に登場する用語は関連事項も含めて確実にモノにしておくことが大切だ。太字の用語はもちろん、解説として載っている図版も十分に内容を把握し、必要な事項は抽出して記憶するようにしたい。無機物質は覚えることが非常に多いが、化学式も含めて資料集の関連事項や写真などを同時に眺めることによって、記憶に残りやすくなるはずである。
出題予想
2025年は、総合問題の中で熱化学としてヘスの法則が取り上げられた。この設問の正答率は26.5%と低かったが、恐らくエンタルピーの概念が日常生活のイメージと乖離していたためだろう。ものを燃やせば熱が発生するが、その際に負の値を持つことに慣れよう。
対策
熱化学に関しては、様々な「エンタルピーの定義」を正しく把握し、化学反応式と対応させて表すことができれば、ヘスの法則自体は数学的に扱えばよいので難しくはない。しかし、新課程の2025年共通テストから採用されたため過去問が非常に少ないので、特に十分な演習量を確保することを意識してほしい。また、先輩に教えを請う際も要注意だ。


演習開始時期:12月中旬~
目標使用量:6回分

基本的に2021年以降の共通テストの過去問を使うこと。ただし、熱化学については新課程の2025年から用語や扱い方が変更されたので、それ以前の問題は使えないことに注意(他の分野は問題なく使える)。2020年以前のセンター試験の問題も、分野によっては使えるので、先生に使用可能部分を判別してもらって進めるとよい。2025年分は直前用にとっておこう。

共通テストの予想問題集は、新課程の熱化学に関して実例が少ないので、できるだけ多く収集して進めるとよい。また、予想問題集だけでなく、個別試験対策の問題集から熱化学だけ抽出して使うのもよい。「間違いチェックノート」は過去に自分が失敗した事項を集めたものなので、なるべく毎回演習を開始する前に目を通してから進めていくと効果的である。
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