
河合塾 藤田 貴志 先生
数学的読解力と計算力を高める独自の指導法を展開し、認識に基づく評価基準を取り入れた自己評価の仕組みを構築。高等学校の定期・実力テストや日々の演習にも対応する観点別評価ツール「テストDE学ぶ」を開発。
















数学における得点力は、基礎事項をどれだけ確実に「使える状態」にしているかに大きく依存する。特に夏休み前の段階では、全単元の内容をひと通り理解し、基本問題を自力で安定して解ける状態にしておくことが重要である。定義や基本事項が「見ればわかる」段階に留まっていては、応用問題で必ず苦戦する。まずは、自分の言葉で説明できることを1つの基準としながら、理解の曖昧な部分を洗い出したい。また、教科書レベルの基本問題では、単に「解ける」ではなく「安定して素早く解ける」ことが求められる。単元により理解や得点に波がある場合は、その分野が今後の伸びを妨げる要因となるので、夏休みの間に苦手単元をすべてつぶしておこう。特にB・C判定の人は、むやみに新しい問題に手を広げるよりも、教科書や使い慣れた問題集の例題を利用して、理解の深化と再現性の向上に努めたい。A判定の人は、入試標準レベルの実戦演習に積極的に取り組んでいこう。

計算力は入試数学において最も直接的に得点に結びつく力である。どれだけよい方針を立てられても、計算ミスや処理の乱れがあると答案は完成しない。特に夏休み前の段階では「最後まで安定して計算をやりきれるか?」が大きな分岐点となる。計算ミスが多い人は、単なる注意不足ではなく、「文字を雑に書く」「途中式を省略しすぎる」「無駄な処理が多い」など、計算過程そのものに原因がある場合が多い。まずは自分がどこで崩れているのかを分析したい。また、長い計算を途中で崩さず処理する力も重要である。B・C判定の人は、面倒な計算を避けず、途中式を整理しながら最後まで解ききる習慣を身につけたい。特にC判定の人は、展開・因数分解・式変形・平方完成・分数計算などの基本計算を毎日継続して練習しよう。A判定の人は、単に正解するだけで満足せず、実戦演習の中で作業の効率化を模索することを習慣にできれば、思考に使える時間的余裕も生まれてくるだろう。

図示・立式・文字整理・場合分けなどの数学的処理力は、得点力の土台となる重要な技能であり、夏休み中に強化しておきたい。C判定の人は、まず1つ1つの処理作業を丁寧に行う習慣を身につけたい。「図を描いて条件を整理する」「文字の役割を確認しながら式を扱う」といった基本操作を確実に積み重ねることが重要である。「この式は何を表しているか?」「なぜ場合分けが必要か?」などを言葉で自問自答しながら演習することで、各処理の意味を理解しやすくなるはずだ。B判定の人は、処理作業の精度と速度を安定させることが課題だ。図示では必要最低限の情報だけを“ザックリ図”として描いたり、場合分けにおいては分類の仕方を工夫して作業量を減らせないか考えるなど、作業の「質」の向上に努めたい。A判定の人は、発展問題を通じた実戦演習の機会を増やし、その中で必要な処理を素早く見極め、正確に実行する訓練へとステップアップしていこう。
夏休みの学習は、まず「毎日行う学習」と「週単位で行う学習」を分けて計画したい。自分の到達度に応じて、例えば基礎事項の確認や計算練習は毎日継続しつつ、図示・立式などの処理力を鍛える練習や実戦形式の演習は週単位で配置する、といった要領だ。また、苦手分野ばかりに偏らず、全単元に定期的に触れるように注意しよう。特に苦戦しているテーマは夏休みの前半で重点的に補強し、安定してきた分野を中心に演習量を増やしていくとよい。さらに、実戦感覚を養うべく、やや難しめの演習問題や過去問にも少しずつ取り組みたい。「解く日」だけでなく「解き直す日」も計画に組み込むことで、解法の定着が期待できる。
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