キャリアやライフプランの相談に数多く対応してきた内村先生のお話から、受験生がこれから直面する人生の場面ごとに、奨学金とどう向き合うべきかを考えてみよう。

実現したい進路を踏まえて
保護者と資金面を話し合おう
まずは、受験生として、大学生活を送るための奨学金を検討・申請する時期。この段階で大事なのは、前述の通り受験生が奨学金に対して自分事の意識を持つことだ。保護者と相談しながら借りる金額を検討・決定することはもちろん、受験勉強などで忙しくとも、申請書類などには自ら目を通したい。
必要な奨学金の金額は、受験生の進路によっても大きく変わる。地元の国立大ならば保護者が事前に準備していた資金で十分賄える家庭でも、子どもが遠方の私立大への進学を希望し、一人暮らしが必須の場合は、奨学金を借りなければならないこともあるだろう。内村先生は「望む進路を実現する場合、保護者が準備していた資金がどれだけ不足しそうなのか、奨学金を申請する前に家族で話し合っておきましょう」とアドバイスする。

将来の返済を見越して
意味のある行動や就職活動を
実際に奨学金をもらう大学生の期間に意識したいことは、「次につながる意味のある経験をしようという意識で大学生活を送ること」だと内村先生は語る。在学中はお金の心配をせずに済む代わりに、勉強や研究、各種の活動などについて、将来につながる有意義なものにする意識で打ち込むのがいいだろう。
こうした意識は、就職活動にもつながる。内村先生は「将来自分が返さなければいけない奨学金の金額はわかっているはずです。その金額を返済できるだけの収入を得られる企業に入れるよう、就職活動に取り組みましょう」と呼びかける。
なお、大学生の後半に入って研究や就職活動が忙しくなると、アルバイトに使える時間が減り、生活資金が不足する事態も考えられる。月々必要な金額の変動も想定しておこう。

安定した企業への就職が
返済の不安を抑える近道
大学卒業後は、いよいよ奨学金の返済が始まる。近年、新卒の初任給は上昇する傾向にあるものの、若手社会人では生活に余裕がある人は多くない。内村先生は「就職先の福利厚生の充実具合にもよりますが、月々の返済金額が約10,000円だとすると、就職して間もない社会人にとっては決して軽い負担ではありません」と説明する。家賃補助などが手厚くない企業に就職し、都市部で一人暮らしをするケースを想定すると、月々の奨学金の返済は軽視できない。
「10,000円の重みは、人によって異なります。安定していたり、高い収入を得られたりする企業に就職できれば、奨学金の返済の不安は抑えられるでしょう。充実した大学生活を過ごして就職活動にも前向きに取り組み、そうした企業に入れると、奨学金を借りてよかったと思えるはずです」と語る。

返済額によっては人生の
重要なイベントに支障が出る
20代後半以降になると、結婚や子どもの誕生、住宅購入など、人生の大きな節目を迎える人が増える。そして、人生の節目には高額な出費が発生することも多い。住宅購入と子どもの誕生が重なることや、夫婦が2人とも奨学金を借りているケースもあり得る。内村先生は「月々の返済額が10,000円程度であればあまり問題にならないことが多いですが、その倍以上の金額を毎月返済している場合は、結婚など人生の重要な決断に支障が生じかねません」と解説する。
重要なのは、大学卒業時点での借金の額を抑えることだ。つまり、借りる奨学金の額はくれぐれも精査する必要がある。「社会人生活を始める時点で多過ぎる借金があると、その後の人生設計に影響します。繰り返しになりますが、借り過ぎには要注意です」と話す。

内村先生が強調するのは、受験生自身が奨学金を自分事として捉えること、つまり当事者意識を持つことの重要性だ。「18歳は成人ですし、受験生の皆さんにはぜひ大人としての意識を持ってほしいです。保護者が準備してくれた資金の不足分をどのように借りて補うか、奨学金に関する正しい知識を理解してください」と呼びかける。
借金を背負って大学に通う以上、受験生時代から将来のビジョンについてはしっかり考えておきたい。「将来どんな仕事をしたいかを考え、その実現のために、大学生活を自分なりに意味のあるものにする努力は必要です。奨学金によって未来を切り拓き、後から振り返ったときに、奨学金を受給したことが正解だったと思えるような人生を目指しましょう」とメッセージを送る。

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