
2026年4月に新設予定の学部について、編集部が大学に直撃取材!大学の新しい取り組みや学問内容、そして育成力はいかに!?(PART 1はコチラ)
画像提供◎佐賀大学

主な拠点は本庄キャンパスだが、コスメ産業が盛んな唐津市のキャンパス(写真)でも研究の一部が行われる予定
もしリップクリームを研究・開発したいと思ったら、どの学部に進めばいいだろうか。2026年4月、佐賀大学に誕生するコスメティックサイエンス学環はもちろんだが、実は理工学部や農学部、薬学部などでも学べる分野だ。たとえば、香りの成分なら理学部の化学科、ハーブなど天然材料であれば農学部、有効成分や毒性については薬学部で学べる。リップクリームの開発には、それだけ多くの学問が横断的にかかわっていることがわかるだろう。
つまり、コスメティックサイエンス学環は化粧品を対象に、いろいろな学問を横断的に学べる学部組織。学部ではなく「学環」としたのは、“環状”に多くの分野を学ぶからだ。
学環長に就任予定の鯉川雅之教授は言う。「コスメを学ぶというより、コスメにかかわるサイエンスを学びます。化学も、農学も、医学も、薬学もできます。マーケティングや流通といった経済学、パッケージデザインなどの芸術学など、文系学問まで横断したカリキュラムを用意しています」
コスメが対象とあって、オープンキャンパスや説明会では女子人気が高いというが、機能性物質などの研究が学びの軸となるため、男子も大歓迎だ。新学環で教鞭を執る予定の川口真一教授は「薬学・理工学分野とも密接。そうした学部に進もうと思っていた人の、新たな選択肢になり得るのでは」とうなずく。


コスメの元となる機能性物質を開発・実験するための授業も多く実施予定
佐賀大学がコスメティックサイエンス学環を設けるのには、理由がある。佐賀県、特に唐津市はコスメ産業が盛んなフランスの「コスメティックバレー」に似た環境で、コスメ関連企業が多い。さらに2013年に「佐賀県コスメティック産業推進室」が設置され、県を挙げてコスメビジネスを後押ししている。大学の研究力と企業の開発力で、コスメ産業を盛り上げたい思いがあるのだ。
企業との共同研究・開発を行う計画を多数予定していて、学びの場が大学内に留まらない点も強み。研究力だけでなく、社会性やコミュニケーション能力も培えるだろう。
また、佐賀大学は海洋エネルギー研究所を持ち、海洋深層水の採取等も可能。農学部や医学部など既存学部の知見だけでなく、海洋深層水を利用した化粧品の開発なども期待できそうだ。
求める学生像について、鯉川教授は「日常的な現象にも『どうしてだろう』と、好奇心を持って探究できる学生に集まってもらって、一緒に新学環を作っていきたいですね」と話す。コスメに興味があったりコスメ産業を盛り上げたい人はもちろん、機能性物質の開発に携わりたい人、世界に“美しさ”を届けたい人も大歓迎だ。
特色加点とは
佐賀大学では、ほとんどの学部の一般選抜で「特色加点」を実施している。任意提出の書類審査で、学科試験とは別の加点枠を設けている。高校での探究活動等で培ったスキルや経験を、大学での学びにどう生かすかをPRし、それがアドミッション・ポリシーと合致していれば、加点が与えられる。
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