
入試本番が迫るにつれて、友達や家族との関係に変化があることも。身近な人間関係を受験勉強の力にできたら最高です。カウンセラーとして若者の悩みに長年向き合ってきた東京科学大学の齋藤憲司先生に、これからの時期の人間関係についてお話をうかがいました。

30年以上にわたり学生の心の声に耳を傾け、保護者や教職員にも対応。専門は学生相談・臨床心理学。博士(心理学)。大学カウンセラー(日本学生相談学会)。著書に『大学生のストレスマネジメント-自助の力と援助の力-』(共著・有斐閣)など。

受験生の皆さんをはじめ、最近の若者は人間関係にとても気を使っています。友達との関係では、同じグループに所属する一体感を重視しつつ、そこから外れることを心配しています。批判や悪口などを浴びないよう、気をつけて日々を過ごしている印象も受けます。思春期から青年期に友達との一体感を求めるのは当然のことです。しかし、自立していくためには、「友達同士であってもそれぞれ違う」ということを認め合うのも大切です。
大学受験、あるいは進路選択は、自分だけのオリジナルな生き方を見つけ出すことに通じます。受験する大学・学部はもちろん、受験に必要な科目も人によって違いますよね。同じ大学・学部を目指す人同士でも、模試の判定や成績は違うはずです。そうした違いを気軽に話題に出して分かち合えればいいのですが、お互いに気を使い合い、違いと一体感の間で窮屈さを感じる人が多いようです。
スマホやSNSが日常になっている点も、最近の若者の人間関係における大きな特徴でしょう。スマホでいつでも連絡が取れるので、たとえるなら友達関係のスイッチが24時間オンになっている状態です。学校の教室でも気を使っているのに、「すぐに返事をしないと」「ネガティブなことを書かないようにしないと」などとSNS上でも気を使っています。
保護者との関係の傾向としては、一見すると仲がいい友達のようであったり、おしゃべりがたくさんできたりする親子が多いように思います。一方で、子どもの側はどこかで一線を引いて、保護者が入ってこられない自分の世界を何とか確保しているようです。昔に比べると、全体的に親子の一体化が進んでいると言えます。これはいい面も多々あるものの、子どもの自立を阻む側面もあります。
大学受験では、進路選択で保護者の意向を気にする人がとても多いです。保護者の様々な希望や事情が受験生を縛るのと同時に、受験生側も保護者の期待に添いたい、悲しませたくないと考えています。18歳はこれから自立していく世代ですから、もっと自分で決めていけばいいのに、と思うこともありますが、現実的にはなかなか難しいようです。

良好な人間関係の最大のメリットは、友達や保護者との関係が、心穏やかに過ごせる自分の居場所になるという点です。これは学校のクラスでも、部活動でも、家庭でも同じ。直接おしゃべりができることも大事です。直接話すことの意義は、コロナ禍を思い出せば実感できるはず。また、会話を通じてリフレッシュや情報交換ができます。

人間関係がうまくいっていないと、相手を気にし過ぎてしまいがちです。仲がこじれた友達が別の人と会話していたら、「自分の悪口を言っているのでは」などと気になります。保護者と険悪な場合、家の中で顔を合わせないように相手の様子をうかがうなどしていたら、精神的な負担になります。これではイライラが募りますし、集中力も乱れるので勉強にも影響します。生活リズムも乱れがちになるので、いいことはありません。
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