
志望校の入試までのカウントダウンが始まるこの時期。日に日に不安や緊張が高まっていることだろう。本番で最大限に力を発揮するためにカギとなるのが、緊張との付き合い方だ。吉田たかよし先生に、脳科学的観点から“本番力”の高め方を伝授していただいた。
編集協力◎笹原風花

東京大学工学部卒、NHKアナウンサーとして活躍後、医学部に再入学し、東京大学大学院医学博士課程修了。受験生専門の医療機関・本郷赤門前クリニック院長。著書『合格させたいなら脳に効くことをやりなさい』(青春出版社)など。
入試の本番で実力をフルに発揮するためには、適度な緊張が不可欠です。脳が良い緊張状態にあるときは、心拍数が上がり脳の血流が良くなることで脳に酸素と栄養が送られ、集中力、判断力、情報処理力といった機能が向上。問題を解くうえでもプラスに働きます。一方、過度に緊張すると脳内で扁桃体が暴走してパニック状態になり、思考や判断を司る前頭前野に悪影響を与え、機能を低下させてしまいます。そうなると、頭が真っ白になる、文字を読んでも頭に入らない…といった状態に陥ってしまうのです。

睡眠不足や生活リズムの乱れによる自律神経の乱れは、脳の働きを低下させる要因に。生活リズムの安定には時間がかかるため、試験本番2週間前から早寝・早起き(=就寝・起床時間の固定)を徹底しよう。
試験中に問題を解くことに全集中するためには、脳のリソースを他の作業に割かないことが大事。試験開始後の段取りや解答手順はシミュレーションを重ねて、「自動化=考えなくても体が勝手に動く状態」にしておこう。
あえて騒がしい環境に身を置く、試験時間より短い時間で過去問を解くなど、普段の勉強時に負荷をかけておくと、脳のストレス耐性が高まる。時間で追い込む学習は、脳のワーキングメモリを鍛えることにもなり効果大。
焦り、不安、こだわりなど自分の心の状態をモニタリングし、メタ認知を習慣化しておこう。その際には、「試験前の典型的な不安」「受験生あるあるの焦り」など感情に名前をつけることで、自分を客観的にコントロールしやすくなる。
いくら準備を重ねても、試験本番で「適度な緊張状態」を維持するのは難しいもの。焦りが焦りを呼ばないよう、試験本番でのさまざまな困った状況をあらかじめ想定し、それぞれその場でできる対処法を用意しておこう。
脳を良い緊張状態に保つには、ストレス耐性、メタ認知、焦りへの対処が重要で、これが本番に強い人の特徴になります。いずれも意識すれば強化でき、「自分は本番に弱い」とあきらめる必要はありません。ストレス耐性を高めるためには、過去問を試験時間より短い時間で集中して解くなど、負荷をかけた勉強が有効です。また、自分の心の状態をモニタリングするのがメタ認知。「あ、ちょっと焦ってきたな」などと客観視するだけで、自己コントロールがしやすくなります。焦りへの対処法については後半で紹介します。
試験問題を解くうえで重要になるのが、前頭前野のワーキングメモリです。本番でこれをフル活用するための準備として、ワーキングメモリ自体を鍛えておくこと、そして、問題を思考すること以外の諸作業をできるかぎり自動化(手順化)しておくことが有効です。鍛えるためには、制限時間つきの計算練習などがおすすめ。軽い有酸素運動にもメモリの容量や機能を高める効果があります。自動化のためには、頭の中で試験当日の行動や解答手順などのシミュレーションを重ね、考えなくてもできる状態にしておきましょう。

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