ここまでに紹介した犯罪トラブルから、新入生に特に注意してほしいものや、近年注目されているものをいくつかピックアップし、実態について解説する。


新入生が遭遇しやすいトラブルとして注意が必要なのは、訪問販売などの消費者トラブルや宗教団体・カルトなどからのしつこい勧誘、そしてアルコールの強要などだ。
大学に入学すると、新入生はキャンパスで様々なサークルから勧誘を受ける。その中に宗教団体・カルトが紛れていることがある。ごく普通のサークルを装って近づいてくる団体もあるため、少しでも怪しいと感じたら、ためらわずに断ろう。また、投資に対する社会的な関心の高まりを背景に、価値のない情報の購入を大学生に迫る怪しい投資サークルも存在するようだ。
さらに、アルコールの強要も新入生の勧誘と関わりがある。大学入学間もない時期は、多くのサークルで新歓(新入生歓迎会)が行われ、その場で新入生にアルコールを強要するケースがあるという。全国大学生活協同組合連合会の調査では、1年生もアルコール強要の被害にあっていることがわかっている。20歳未満の飲酒は法律で禁じられており、本来被害は0件でなくてはならない。飲酒しないよう自らを律するとともに、危険を感じたらその団体には深入りしないようにしよう。

被害件数としては少ないものの、見逃せないのが近年社会問題になっている闇バイトに誘われたという報告だ。前ページで示した調査では、闇バイトに誘われたという人は、自宅生・下宿生いずれも0.1%。SNSを通じて勧誘が行われていると見られ、実際に大学生の身近なところに危険が潜んでいることがわかる。また、同じく社会問題化しているオンラインカジノに関する報告も寄せられているという。大麻や危険ドラッグを勧められた人も、自宅生で0.2%、下宿生で0.1%存在する。大築広報調査部長は「大麻やドラッグは、最初からそれらに手を出すというよりも、20歳未満での飲酒や市販の薬物の過剰摂取など、比較的敷居の低いことが入り口になるケースが多いようです」と警鐘を鳴らす。

パワーハラスメント・モラルハラスメント、セクシャルハラスメントなど、人間関係のトラブルも被害報告が多く寄せられている。全国大学生活協同組合連合会によると、アルバイト先などだけでなく、大学内でもハラスメント被害の事例は多いという。教員から学生へのハラスメントもあるが、学生同士が加害者と被害者になるケースもある。
大築広報調査部長は「大学生が遭遇するハラスメントというと、高校生の皆さんは教員から受ける被害が思い浮かぶかもしれません。しかし、サークルやゼミなど、それ以外の人間関係の中でもハラスメントは発生します。もし大学内の人間関係で悩むことがあれば、学生相談センターに相談するなどの対策を検討してください」とアドバイスする。
大学生が被害にあいやすいトラブルを紹介してきた。対処法として共通して言えるのは、「悩んだり困ったりしたら、抱え込まずにすぐ相談すること」だ。全国大学生活協同組合連合会の調査によると、悩みを相談する相手について、「いる」と答えたのは84.1%、「いない」は15.9%だった。友達や保護者に相談しにくい場合、大学内で遭遇したトラブルや犯罪の被害は各大学の学生相談センター、消費者トラブルの被害は消費者ホットライン「188」などが相談窓口になる。問題が深刻化する前に利用を検討してほしい。
各大学にある学生相談の窓口。最近はネットを通じて予約できる大学も多く、プライバシーにも配慮されている。カウンセラーによる解決が難しい場合は、必要に応じて法律などの専門家につないでもらえることもある。
消費者庁によるホットラインで、消費者トラブルの内容に応じて、地方自治体などの専門窓口を紹介してくれる。何らかの事情で保護者への相談が難しい消費者トラブルに遭遇した場合、まずは電話してみることを検討したい。

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