受験生として過ごすこの1年間の時期別に、効果的な過去問活用法の例を示す。各時期における過去問の役割の違いを意識しながら、志望校対策を進めてほしい。

前述の通り、春のうちに一度、志望校の過去問を解いてみよう。できれば時間に余裕のある春休み中に、本番のスケジュール通りに解いてみてほしい。一般に難関大ほど受験する教科数が多く、学力だけでなく気力・体力の必要性も実感するはずだ。
大事なのは解きっぱなしにしないこと。分野ごとの得点率や解答にかかった時間をもとに、「合格までに何が足りないか」を洗い出し、合格までの大まかな学習イメージを持とう。

夏には、春よりも具体的に志望校合格までの戦略を立てよう。そのために、追加で1年分過去問を解いてみよう。その結果に加えて、夏までに何度か受けているはずの模試結果も、戦略を立てるうえでの参考材料になる。
模試結果は情報の宝庫。自分の苦手・得意な教科・分野が具体的に把握できる。「全体で何点取れば合格に届く、そのために各教科・分野でどのくらい得点する必要があるか」を検討しよう。
夏休みは受験の天王山とも呼ばれるくらい勝負どころの時期。では、具体的に何が勝負を分けるかというと、「夏休み中に基礎固めを終わらせられるかどうか」だ。秋以降は実戦的な問題演習のフェーズに移っていくため、基礎に不安を抱えた状態では成績も伸びにくいし、成長を実感しにくい。特に難関大志望者は、「基礎固めに十分な時間を使えるのは夏が最後」と意識し、夏の頑張りを秋以降の飛躍につなげよう。

秋に腰を据えて取り組みたいのが、志望校の過去問分析だ。春や夏に解いたものも含めて数年分の過去問を解き、出題される問題の数や形式、時間配分、頻出のテーマ・分野などを分析する。この時点では、問題を解く際の時間は意識しなくていい。じっくりと問題に向き合い、実力でどこまで解けるかやってみよう。理想の時間配分と比べてどのくらい時間がかかったかで、春や夏よりも具体的に志望校までの距離が測れる。

過去問分析の大きな目的は、出題傾向の把握。具体的には、上記のようなポイントを念頭に、分析に取り組もう。ただし、分析して満足して、そこで終わらないように注意。志望校の過去問で出題形式や頻出テーマ・分野が把握できたら、問題集などで類似の問題を解いて練習を重ねよう。
いわゆる旧帝大などの難関大の場合、教科別にまとめられた過去問集も出版されている。もし苦手教科に重点的に取り組みたいなら、こうした教科別の過去問も取り入れよう。また、苦手なテーマ・分野は問題集も活用して演習を重ね、実力の底上げを目指そう。苦手分野の克服の度合いは、模試の結果を点検すればある程度把握できる。秋は個別試験に向けた実力養成の時期と考え、過去問分析とそれをもとにした演習に打ち込みたい。


12月から1月中旬にかけての時期は、共通テスト対策が受験勉強のメインとなる。ただし、難関大の多くは個別試験の配点が高いことに留意。難関大志望者は、共通テスト対策と並行して引き続き個別試験対策にも取り組もう。2週間に1年分程度のペースで志望校の過去問に取り組めるといいが、共通テスト対策で難しい場合、志望校と同レベルの大学の問題に取り組み、個別試験に向けた実力の維持に努めよう。
共通テストは、難関大志望者でも対策が必須だと覚えておいてほしい。理由は、共通テスト特有の出題形式や問題の分量の多さは、相応の慣れが必要だからだ。共通テストには各大学の入試であまり見かけない形式の問題も多く、個別試験に向けて磨いた学力をそのまま生かせないケースもある。難関大は共通テストの配点が低いからと甘く考えずに、遅くとも12月には過去問を使った共通テスト対策に舵を切ろう。

共通テスト後は、実戦的な過去問演習をひたすら繰り返す期間になる。数年分の過去問に取り組み、丁寧に仕上げていこう。この時期の過去問演習では、本番通りの時間設定で問題に取り組むこと。また、残り少ない時間を有効に使うため、重点的に取り組みたい教科や分野を決めよう。そのためには、共通テストの結果も参考に、「どの教科でどのくらい完答できれば合格ラインに届くか」という最終戦略を練ることが大事になる。

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