
恐竜学部長
西 弘嗣 先生
「フィールドワークで自然を観察しながらデジタル技術を身につけて、環境変化や自然災害の多い今後の社会で暮らしを支える人材を育てます」

「恐竜学部」。ロマンあふれる学部と思いきや、恐竜学は単に恐竜の姿形や種類を知る学問ではないと、学部長の西先生は強調する。
「恐竜学は、化石や地層を手がかりに、46億年に及ぶ地球の生物や地球環境の変化を、時代を追って科学的に解き明かす自然科学の1分野。古生物学に加えて地質学や環境学など、地球そのものの理解を深めていきます」
温暖化をはじめとする環境変動や、地震・豪雨などの自然災害が多発する今こそ、こうした地球そのものの理解が重要だという。
「実は、恐竜の時代にも地球は温暖化し、人類誕生以前にも巨大地震が起きていました。その時に地球や自然、生物がどのように変化したのかを知ることは、現代の気候変動や自然災害を理解し、今後の暮らしをどう守っていくかを考えることにつながるのです」
特に重視しているのは1年次から行われる、地形や地質の観察や発掘現場見学などのフィールド実習。3年次から分かれる「地質・古環境コース」では災害・防災学も必修で、もう一方の「恐竜・古生物コース」には「古生物多様性学」など生物と環境変化のかかわりを学ぶ科目もある。恐竜から始まる学びが、地球の歴史を経て、今と未来の暮らしにつながっていく。そのスケールの大きさこそ、恐竜学のおもしろさといえる。

恐竜の骨格を3Dスキャンしているところ。
もう1つ、恐竜学部の大きな学びのキーワードが「デジタル」だ。CTスキャンや3D計測などの技術を使えば、化石を壊すことなく内部構造を調べられ、化石や発掘現場をデジタルデータとして記録できる。さらに、ドローンによる地形の撮影や3D測量など、さまざまなデータを蓄積・解析することで、これまで見えなかった情報を引き出していく。
「学生には、デジタルに関する2方向の技術・知識を学んでもらいます。その1つが、物体をデジタル化し、そのデータを活用する力。在学中に扱うのは恐竜の骨などですが、デジタル化する手法は身の周りにある物でも、ダムのような巨大な建造物でも変わりません。もう1つは、自分が何を作りたいのか、その目的に応じてどんなデータを集め、どのようなデジタル技術を使えばいいのかを逆算して考えられる力。この両方を身につけるからこそ、卒業後にどんな職種に就くにしても役立つデジタルスキルとなるのです」
恐竜という興味を引く題材を追究することで、将来社会で活かせる力を身につけられるわけだ。

3年次には海外の恐竜化石の発掘現場を訪れる経験もできる。

CTスキャンで骨や化石の内部構造を調べられる。

福井県立大学 恐竜学部
2年 A.Sさん
恐竜へのワクワクを学びのきっかけに
小学生の頃から恐竜や化石、鉱物に興味があり、高校2年生時に訪れた福井県立恐竜博物館でワクワクしたことから、受験を決意。受験勉強に疲れた時も、恐竜の図鑑を開いて、気持ちを奮い立たせました。恐竜学部で印象的だった授業は「地球科学フィールド実習」です。2年次の夏休みには、北海道の川や山で地層を観察する5日間の集中講義があり、化石やきれいな岩石をたくさん発見。授業で化石を扱うことは多いものの、自分で発見したものは格別でした。
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