1875年に開校した東京女子師範学校が起源。日本初の官立女子高等教育機関。戦後、お茶の水女子大学となり、現在に至る。学部は文教育学部、理学部、生活科学部、共創工学部の4学部。今回紹介する共創工学部は、2024年に設置された。

話してくれたのは…
学部長・大瀧雅寛先生
開設3年目を迎え、両学科ともに手ごたえを感じます。当初の狙いである「文系と理系の融合」については、特に文化情報工学科の学生の思考性や関心のバリエーションに、想定以上の広がりを感じています。人間環境工学科も、前身の生活科学部人間・環境科学科時代以上に、工学志向の学生が増えた印象です。工学で重要なのは、「課題発見」「解決策の発想」「解決策のデザイン(実装)」という3つのプロセスです。これらを実現する資質は、数学や理科が得意な人だけのものではありません。本質的には文系・理系は関係ありませんので、受験科目の関係で文理が分断されている現状は、非常に残念だと感じます。
また、共創工学部は生活科学部から発展した側面もあり、生活環境や都市環境、AIなど、暮らしやインフラに関する分野にも強みがあります。歯車や機械・ロボットのような旧来のイメージに留まりませんので、文理の壁や工学への先入観を持たずに、ぜひ挑戦してほしいですね。共創工学部では、こうした壁を取り払い、社会課題を柔軟に解決できる人材を育てたいと考えています。

本来、大学というのは狭く深く探究していく場所です。分野をまたぐ“文理融合”とは、実は相性が悪いんですよね。教員も狭く深く学んできた人間なので、最初から融合したものを教えることが難しいんです。ですので、共創工学部では、融合ではなく「文理協働」と呼び、異なる分野を協働させることで新たな発見やイノベーションを起こそうと考えています。このように文理協働を経験して育った学生は、分野をまたぐことをいとわない人材になっていくのだと思います。
大学としては、専門領域外の素養・教養のレベルも高く持ってほしいと考えています。そこで、従来のように「基礎を積み上げてから応用に進む」のではなく、「最初に応用を体験させてうまくいかない不便さを実感させてから、必要な基礎を学ぶ」という授業プログラムに挑戦することにしました。不備・不足の経験から、自ら必要な知識を探す意識が生まれますし、「この基礎って、別の課題にも応用できるのでは?」という気づきにもつながり、応用する力も身につきます。
1年次前期の必修授業で、「文理協働」とは何かを理解するための授業。知識を得るための講義を聞くものではなく、文化情報工学科と人間環境工学科の教員によるディスカッションを聞くもの。本来交わらない専門家同士が互いの発表に対してリアルなツッコミや質問、議論を投げかけ合うので、異分野が出会ったとき、どのように新しい発想や情報交換が生まれるのかを、入学してすぐに目の前で感じ取れる。

2人の先生が、学生の前でディスカッション
共学では、個人の実力や資質に関係なく、性別による無意識のバイアスで役割分担が固定されがちです。特に実験や課題解決型学習の場で顕著です。たとえば実験のリーダーが男子で、ケア役が女子とか。しかし、女子大は女子だけですから、リーダーもケア役も、すべて女子。リーダー役をはじめさまざまな役割を経験できる機会が回ってくるので、社会に出てから必ず生きる経験ができることが、女子大で学ぶメリットかもしれません。(大瀧先生)
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