最近は、ウェブやYouTubeでも参考書選びに関する情報を手軽に知ることができる。こうした情報を活用して、うまく参考書や問題集を選べば、塾や予備校に行かずとも、独学で難関大学に合格できるのか?「参考書ルート」の考案者・中森泰樹先生に伺った。
株式会社まなっぷ社長。1984年生まれ。2006年に武田塾に入社し、教務主任、教務部長を経て塾長となり、武田塾の参考書ルート、勉強法、指導法などを監修する。2022年に株式会社まなっぷ設立。世の中のあらゆる参考書に目を通し、受験生に最適な参考書を選んでくれる「参考書ソムリエ」として、著書・監修書籍なども多数手がける。
独学・自習で難関大学の入試に挑もうという受験生にとって、受験指導の専門家が志望校や学習進度に応じて「取り組むべき参考書」を体系的に指南してくれる「参考書ルート」は、救世主のようにも思える。だが、参考書ルートは万能薬ではない。参考書ルートを最初に考案した中森泰樹先生は、そのメリットとデメリットについて次のように語る。
「最大のメリットは、受験生一人ひとりが自分に合った道(ルート)を選びやすい、という点です。志望校や自分の現状の学力レベルに応じて適した教材を選ぶことは、効率的に受験勉強を進めるうえでとても重要ですから、その指針としては適切です。一方、デメリットは、提示された参考書ルートのままでは合わないケースが多い、という点です。参考書ルートは受験をよく知る塾や予備校の先生たちが考えて提示しているもので、より多くの受験生に当てはまる汎用性の高いものになっています。それを妄信してその通りにやってしまうと、結果的に思うように成績が伸びない…ということになりかねないのです」
では、参考書選びにおいては、どのようなことに気をつければよいのだろうか。中森先生は、「大前提として、参考書学習は受験勉強の手段の1つでしかない」と指摘する。
「学校の授業、塾・予備校の授業、動画など、受験勉強の方法・手段にはさまざまなものがあります。参考書学習は授業よりも効率よくインプットができるという側面はありますが、先生の説明を聞いたほうが理解が深まるシーンだってあります。参考書だけにこだわるのではなく、あらゆる教材や学習法を組み合わせながら、自分にとって最適なやり方を見つけていくというのが受験勉強の本質です。それを押さえたうえで、参考書を選ぶ際には参考書ルートのような指針を参考にしつつ、自分はこの分野は弱いから薄い基礎問題集を使って集中的に補強しようなどと、アレンジを加えていくことが大事です」
参考書を選ぶ際に受験生がやりがちなのが、やたらと難しいものに手を出すこと。これは絶対にNGだと中森先生は警鐘を鳴らす。
「プライドなのか強迫観念なのか、難関大学を目指す人ほど、○○大学を目指すのだから難しい参考書をやらないといけない…と縛られているケースが多いですね。最終目標も大事ですが、まずは自分の今の状況を直視し、基礎が甘いなら基礎的な参考書を使い、しっかりと積み上げなければなりません。参考書選びのルールはいたってシンプルで、簡単なものから始めて徐々に難しいものに、です。よく、問題を深掘りせよと言われますが、最初から深掘りするのはナンセンス。それではいくら時間があっても足りません。まずは基本レベルの問題が解けるようにならないことには、どうにもなりません。焦る気持ちはわかりますが、結局はそれが一番の近道です」
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