最近の大学入試では、大勢の受験生が学校推薦型選抜・総合型選抜で合格をつかむ。合格しやすい“お得な入試”と言われることもあるが、それは実態とは異なる。この記事では、学校推薦型&総合型選抜に関する誤解と実態について、河合塾の専門家に解説していただく。
1997年河合塾に入塾。西日本地区の校舎を担当し、現役生・高卒生の生徒指導に従事。その後、講師マネジメント部門、塾生指導の企画部門を経て、2017年より現職のカリキュラム企画部門へ。塾生の学力向上と志望校合格のための教育サービスの開発にあたっている。
学校推薦型選抜・総合型選抜は、入試改革が行われた2021年度に、推薦入試・AO入試からそれぞれ移行した。各大学の募集定員は年々増えており、定着してきているが、実態とは異なるイメージを持たれる側面もある。代表的なものが、「一般選抜に比べて合格しやすい“お得な入試”だ」という誤解だ。
河合塾で学校推薦型選抜・総合型選抜対策のプログラム設計を担う、教育企画部の杉田和久部長は「学校推薦型選抜と総合型選抜は、受験すれば誰もが合格するような入試ではありません。難関・上位の大学になるほど学力も重視されますし、受験にあたって求められるものも多岐にわたります」と解説する。
学校推薦型選抜・総合型選抜というと、面接や小論文を思い浮かべる人も多いだろうが、実際の試験内容は大学・学部によって千差万別。一般選抜並みの学力を問う試験や、瞬発力やプレゼン能力が重視される試験もある。決して簡単に合格できる入試ではないのだ。
学校推薦型選抜・総合型選抜について、改めて特徴を確認しよう。前述の通り、試験内容は大学・学部によって大きく異なるため、一般選抜同様、志望校のアドミッション・ポリシーや入試の内容に応じた個別の対策が必要になる。難関大ほど学力も重視されるため、難関大や上位の大学と、中堅までの大学とでは、難易度に差が生じているのが現状だ。
とはいえ、数学オリンピックの上位入賞や英検一級など、華々しい実績や資格・能力が受験に必須かというと、そうではない。学校推薦型選抜・総合型選抜は以前の推薦入試・AO入試とは異なり、過去の実績よりも将来への問題意識を重視する傾向があるからだ。杉田部長は「学校推薦型選抜・総合型選抜の受験では、本人の強い意志が何よりも大事です。『自分が何をやりたいか』という将来のビジョンが明確な人に向いている入試と言えます」と語る。
受験の検討にあたり注意してほしいのは、学校推薦型選抜・総合型選抜は、出願書類の作成に時間と労力がかかることだ。詳しくは次の記事『出願書類作成のための自己分析メソッド』で解説するが、志望動機の深掘りや、それを書類に落とし込むのは簡単ではない。
さらに、不合格に備えて一般選抜対策も同時並行する必要があるため、一般選抜のみの受験生と比べると、やることが非常に多い。難関大はハイレベルな勉強との両立が不可欠だ。中堅までの大学は比較的人物重視の傾向が強いが、出願書類の準備は手を抜けない。いずれにせよ事前の準備が重要になる。
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