
『螢雪時代』アドバイザー 大竹 真一 先生
長年にわたり河合塾講師として受験生を指導。旺文社の『全国大学入試問題正解数学』の解答者・巻頭言を務め、受験生向けの参考書・月刊誌、大学の教科書など多数の著書がある。また、大学でも教鞭をとっている。

以下、各鉄則について具体例を挙げる。鉄則1:例えば、抽象的なf(x)関数について、多項式と思い込んで次数や微分を考えたりしない。鉄則2:記述に曖昧な言葉を用いると、採点者に論理的に不完全と見なされる。例えば、「Aとなる条件はBである」を「AとなるのはBであればよい」と書くと、「BはAの十分条件」という意味になり、不完全な答案となる。鉄則3:式を見やすく整理したり、関数はグラフで、集合や論理を考えるならベン図で、不等式なら領域などで視覚化する。鉄則4:例えば、実数の式x3-4ax+3a2=0だけでxの値の範囲が定まるが、隠れた条件はaは実数であること。aの2次方程式と見て、(判別式)≧0からxに関する不等式が得られる。鉄則5:例えば、「ミスした計算結果を答案の真ん中あたりの式に代入し、成り立てば後半の計算は正しく、前半にミスがある」といった考え方。同様の考え方をすることで、ミスの箇所をさらに狭い範囲に絞り込むことができる。以上、得点力を強化するために、普段の学習でも十分に留意してほしい。

証明問題は一見すると難しそうだが、仮定から結論まで与えられているのだから、むしろ易しいとも言える。その道筋は、仮定から証明の方向性を考えるだけでなく、結論から逆に進むこともできるし、ヒントとなる材料も少なくない。そして、証明の方向性が定まれば、論理を武器に証明を進める。このとき、証明が数学的帰納法や背理法など特別な型にはまったものならば、それに従う。示すべき命題が逆を要求するものなら、逆について述べる。「式の変形は逆をたどることもできるので、必要十分である」などと述べるか否かで、大きく評価が変わるような問題もある。

ベクトルや複素数平面の図形的な問題は、直感に頼るだけでなく、「数学的な性質や条件から、どのような結果が導かれるのか?」という数学的考察を進めていく必要がある。このとき、計算を避けては通れない。間違いやすい公式については、類似の分野で比較しながら確認しておくとよい。例えば、ベクトル

と複素数α=a+bi、β=c+diを比較すると、それぞれの絶対値

は同じ結果だが、内積

に対して、複素数の積αβ=ac-bd+(ad+bc)i は複雑だ。さらに、ac+bdとなるのは、αβの実部である。

計算問題だからと言って、「計算する作業を進めるだけでいい」と考えないこと。その過程にある論理的な仕組みに注目しよう。例えば、式の両辺を平方したとき、その結果得られた式は元の式の必要条件にすぎない。得られた結果が元の式を満たすかどうかを確認し、初めて答えを得たことになる。微分可能な等式の両辺を微分して得られる結果も、元の式の定数部分が消えているのだから同様に必要条件だ。p、qが実数のとき「p+q√2は無理数」といった論理的なミス(q=0のときは有理数)も要注意だ。このように、計算の中で論証を意識した解答を心がけたい。

覚えていない公式や初めての考え方に出会ったときには、自分専用の「数学単語帳」に書いて記録しておこう。一度覚えただけでは身につかないので、英単語と同じく、何度も考え、繰り返し見返すことが重要である。
最初から解答を読むような学習は論外。「問題に何が与えられて、何を要求されているのか?」「どのような解法が考えられるのか?」を分析・判断・推測する。このようなプロセスを踏むことで、真の実力がつくのだ。
教科書や標準的な参考書の「解答例」で書き方を学ぼう。模倣しながら自分で答案を書いてみるとよい。計算問題での丁寧さや証明問題での論理のわかりやすさだけでなく、帰納法、背理法、漸化式などの型も身につくはずだ。
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