「解ける人」の視点と思考 1
「解ける人」は、「この問題は、なぜこの解き方になるのか?」を自分の言葉で説明しようとする。例えば三角方程式でも、ある問題は変数変換で処理するのに、別の問題は加法定理を用いた合成で解くことがある。その違いを、「sinが多項式の中に含まれているから、sinx=tとおけばsinを消すことができる」とか、「最大・最小を考えるには変数を1つにまとめたいので、合成するとよい」といった筋の通るストーリーとして理解するのだ。
つまり、「どう解いたか」を丸暗記するのではなく、「なぜその方針を選んだのか?」「なぜ他の方法ではなく、その方法が有効なのか?」を、一段階抽象化された文脈でとらえようとするのである。そこを言語化できて初めて、その解法はただの暗記事項ではなく、次の問題にも応用できる知識になる。

これは、頭の中に疑問を投げかける生徒と、それに答える先生の両方を用意しているようなものだ。「なぜそうするの?」「本当にそれでいいの?」と問いかける自分がいて、それに対して納得できる説明を返そうとする自分がいる。その脳内シミュレーションを繰り返すことで、理解の質がぐっと深くなる。
実際、誰かに教えようとしたとき、自分の理解が進むことは多い。相手を納得させるには、「手順」ではなく「理由」を説明しなければならないからだ。「解ける人」は、その作業を自然に頭の中で行っている。「なぜ?」を言語化すること。それが、一つの解法を百に応用できる知識へと変えていくのである。


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