読者の皆さんは、奨学金にどんなイメージを持っているだろうか。「借金」というイメージが強いかもしれないが、有効に活用すれば、将来の選択肢を広げる大きな力になる。奨学金の専門家や、お金と生活の専門家から、正しい知識や将来設計の重要ポイントを教えてもらい、後悔しない進路選択に役立てよう。
ガクシーメディア編集長
大工原 靖宜 さん
株式会社ガクシー取締役。一橋大学卒業後、株式会社リクルートに入社し、主に事業開発に従事。シンガポールのスタートアップ等を経て、ガクシーの共同創業者となる。
国内最大規模の奨学金検索サイト。日本中ほぼすべての奨学金の中から、自分に合った奨学金を検索できる。掲載する奨学金の情報は約17,000件。奨学金制度について学べる記事メディアも運営している。ガクシーHPはこちら
まずは奨学金という制度について、改めて概要を確認しよう。奨学金とは、国や財団、自治体などが、学生に対して学費や生活費を貸与または給付する制度のこと。国内最大級の奨学金サイト「ガクシー」によると、現代では大学生の2人に1人が何らかの奨学金を受給しているという。また、奨学金の内容や給付額、運営団体などは多様化しており、近年は新しい形の奨学金が登場している。
ただし、奨学金制度はネガティブな印象を持たれやすく、古いイメージに基づく誤解が根強いのも事実だという。近年のトレンドの変化や、有名ではない奨学金の情報が、受験生や保護者、学校現場などに伝わっていないという課題もある。ガクシーが運営する記事メディアの大工原編集長は「奨学金は事前の情報収集が重要です。条件を明確にし、自分に合ったものを探しましょう」と呼びかける。
国が提供する奨学金で、最も多くの人に利用されている。大学進学にあたって奨学金を検討する際、最初に申請の候補に挙がることが多いだろう。給付型は貸与型に比べて採用の基準が厳しい。
進学を目指す大学や専門学校が、独自の奨学金制度を導入しているケースがある。大学独自の奨学金はあまり知られていないこともあるため、受験を検討している学校の情報を積極的に調べてみよう。
ガクシーによると、財団や民間企業が運営している奨学金は、学校の成績や世帯年収に関わらず、将来の明確な夢や、高校時代に何らかの活動実績があるタイプの受験生におすすめだという。
都道府県や市町村など、主に地方自治体が出身者を支援する目的で運営しているケース。自分の出身地域の自治体で導入されているか調べてみよう。ガクシーによると、貸与型が多い傾向があるという。
奨学金には、大きく分けて返済義務のない給付型と、大学卒業後に返済が必要な貸与型がある。ガクシーによると、受験生に給付型の情報が十分に届いておらず、高校や大学からもあまり案内されないため、給付型は申し込む人の数自体が少ないという。実際に、国内の奨学金は多くが貸与型なのが現状だ。
さらに、最も利用者が多い日本学生支援機構(JASSO)の場合、貸与型にも二種類がある。そのうち第二種奨学金の場合は、利子の返済義務が発生する。
ただし、ガクシーによると、近年は奨学金を巡る環境にも変化がある。給付型の奨学金が徐々に増えつつあり、運営団体や内容も多様化しているのだ。民間企業が食品を支給したり、自社商品を割引したりする形で学生を支援するケースもあるという。大工原編集長は「運営側の意識も変わってきています。必ずしも経済的に大変な学生だけでなく、優秀な学生を広く支援したいという運営団体も増えています」と解説する。
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