英語
語彙力を強化して、弱点克服の突破口を開く
ZEN Study 三浦 淳一 先生
予備校や進学校での大学受験指導のほか、映像授業でも活躍中。旺文社『全国大学入試問題正解 英語』の解答者で、『全レベル問題集 英語長文①~⑥』『入門英語長文問題精講』(いずれも旺文社)など多数の著書がある。


英語を苦手とする最大の原因は語彙力不足だ。もちろん、文法の理解、文構造を把握する力なども重要だが、単語力がないと文法の知識も生かせない。問題は単語の学習法だが、市販の単語集を何周もして完全に覚えようとしても意外に効果が薄い。単語集に掲載されているのは文脈から切り離された単語であり、「生きた語彙力」は文脈の中で身につけるものだ。まずは、うろ覚えでよいので、忘れることを恐れずに単語集をザッと1周する。次に、英文を多く読み、出てきた単語をリストアップしてみよう。すると、意味は思い出せなくても見覚えのある単語に多く出会うはずだ。このような単語は記憶に定着しやすい。さらに、再び単語集に戻り、未知の単語を覚える努力を積み重ねよう。このサイクルを繰り返すことで、ただ単語集を何周もするより効率的に語彙力を向上させることができる。



最も深刻なのは、英文を読む際に、目に入ってくる単語の意味を適当につなぎ合わせて内容を理解しようとする姿勢である。このような読み方では、易しいストーリーのような英文はともかく、難関大で出題されるような高度で抽象的な英文には対処できない。この状況から脱却するには、英文法の中で文の構造に関わる部分(文型、準動詞、接続詞、関係詞など)を丁寧に学び、その知識を活用して英文を分析的に読むことだ。英文法は文法問題を解くためだけの知識ではなく、正確に英文を理解するための道具だと認識しよう。


リスニングは、苦手の原因により対処法が異なる。そもそも英語が聞き取れないのは、「文字と音声を結びつける学習」が不足しているので、単語や読解の学習の際に音源を有効活用しよう。他方、聞き取れるのに解けないのは、音声に集中しすぎて内容に意識が向いていないからだ。「事前に設問をチェックする」「メモをしながら聞く」など、解答に必要な情報に集中できるように聞き方を工夫してみよう。なお、リスニング教材に知らない単語が多数あったり、読解問題としても理解できないのは、語彙力や読解力の問題である。


難関大における長文読解問題の分量は非常に多い。そこで、速く読まなくてはならないという焦りが生じる。しかし、読む速度を無理に上げれば、当然だが理解度は低下し、正解率が下がる。実は時間がかかりすぎる最大の原因は、英文を「正確に読む力」が欠けているために曖昧な理解しかできず、設問を解く際に迷いが生じる点にある。正確な読解に必要な語彙力・文法力・構造把握力をつけることが、遠回りのようで近道なのだ。これらの力を身につけて、あとは練習量さえこなせば、自然にスピードは上がってくる。
