理容師は、髪の毛のカットやバリカンを使っての刈込を行ったり、カミソリを使って顔をそったりする理容技術のプロフェッショナルである。なかでも「カミソリを使ってそる」という技術が、理容師の仕事の大きな特徴となっている。
美容師もカミソリを使って剃毛をすることはある。しかしそれは、ショートカットの襟足を整えたり、メイクの際に眉の周りなど目立つところをそったりする程度であることが多い。
ところが理容師の場合は、男性のひげをそりあげるという業務、いわゆるシェービングが、もっとも重要な仕事の一つとなっている。
ひげそりの場合、顔から首にかけて、のど元にもカミソリを当てることになる。鋭い刃物を首にまで当てるのだから、一歩間違えば命に関わるような事態にもなりかねない。傷をつけないように細心の注意が必要だ。そのための技術をもっていることが、理容師の最大の特徴といえるだろう。昔は理容室に必ずあった独特の赤・白・青が螺旋状に回っている看板は、由来が諸説あるが、そのなかに、白は包帯、赤は動脈、青は静脈という説がある。実際に歴史をひもとくと、かつてヨーロッパでは、理容師は手先の器用さを買われて外科医の役割を兼務していたこともあるのだという。
もちろん、女性の顔や襟足のうぶ毛をそって肌を整えることも、理容師がもっとも得意とするところである。あとに述べるように、最近はそうした女性のケアに力をいれている理容室も増えている。
そうしたなかで、技術はもちろんだが、衛生にも気を配るのが理容業の大切なポイントだといえる。
体裁だけ容姿を整えるのではなく、清潔に仕上げることが理容師の使命なのである。美容が「おしゃれ」のためのものとすれば、理容はそれ以前の「身だしなみ」に重点を置いているともいえるだろう。
多彩な技術に加え、接客の能力も問われる仕事
とはいえ、今は理容師にも「おしゃれ」の感覚が強く求められている。ヘアスタイルに気をつかう人が多くなり、お客の要望も多様化してきた。理容師法では「頭髪の刈込」などと書かれているが、今はそれだけではとても通用せず、さまざまなカットやカラーリングの技術が必要になっている。
さらに流行を敏感にキャッチし、お客が満足できるスタイルを提案していくセンスが、理容師にも求められているのだ。
もちろん、接客業者としてお客とコミュニケーションをとり、心地よく過ごしてもらうことも大切である。この点は、美容師と共通する仕事の重要ポイントといえるだろう。