危険物取扱者とは、ガソリンや灯油などの引火性物質や発火性のある化学物質、硝酸などの酸化性液体といった危険物を取り扱うための資格である。これらの危険物は重大な火災事故などにつながる危険が大きいため、一定以上の量を保管したり取り扱ったりする施設では、資格を持った危険物取扱者が作業にあたるように消防法で義務づけられている。たとえば、石油を原料とする化学工場や、危険物を保管する倉庫や石油貯蔵タンク、ガソリンスタンドなどが対象となる。
危険物取扱者には、甲種・乙種・丙種という区分があり、取り扱うことのできる危険物の範囲がそれぞれ違う。甲種はすべての危険物を取り扱うことができ、作業に立ち会って指示を出し、他の者に危険物を取り扱わせること(保安の監督)もできる。乙種は、第1類~第6類という危険物の種類別に資格が与えられ、資格を得た種類の危険物に限って取り扱いや保安の監督が可能。丙種はガソリン、灯油など第4種のうちに指定された引火性液体を取り扱える資格である。
なお、大規模あるいは特定の危険物施設では「危険物保安監督者」を選任する義務があるが、この職務につけるのは、甲種または乙種危険物取扱者で6か月以上の実務経験を持つ者のみ。