医師が診療を行うには、患者の状態を知るためにさまざまな検査データが必要だ。検査とひとくちにいっても、血液検査、尿検査、微生物学的検査、細胞の検査、遺伝子検査、心電図をとることや脳波測定など、たくさんの種類がある。そうした検査を行う専門職が臨床検査技師という仕事である。
たとえば大きな病院では、独立した検査部門が設けられ、臨床検査技師や看護師が協力して検査を一手に引き受けている。患者はそこに出向いて、たとえば血液検査なら採血を受ける。臨床検査技師は採取した血液を化学や生物の手法を使って分析し、そのデータを担当医に届けるのである。
個人の開業医などでは、採取した血液を検査センターのような専門業者に送り、検査を委託するケースが多い。このような検査センターも、臨床検査技師の主要な職場の一つである。
臨床検査技師が提出した検査結果は、医師が診断を下したり、治療方針を決めたりする際の判断材料となる。検査の結果は個人のプライバシーであり、絶対に他に漏らすことは許されない。臨床検査技師は、医師や看護師と同じように、職業的倫理が必要とされる仕事なのだ。