福祉とは本来、“社会の構成員(つまり日本の場合なら全日本国民)に等しくもたらされるべき幸福”を意味している。しかし現実には、高齢であったり、身体や心に障害があったり、経済的な理由や、環境上の理由(たとえば親や配偶者からの虐待を受けているなど)であったり、さまざまな理由から、日常生活を送ることさえ困難な人たちがいる。
そうした人々を助け、必要な福祉サービスを受けて生活を向上していけるようにサポートすることが、社会福祉士の役割だ。英語ではソーシャルワーカー(SW)と呼ばれる福祉専門職である。
日本では、老人福祉法、身体障害者福祉法、児童福祉法などの法制度があり、それぞれに福祉サービスが用意されている。しかし、手続きの仕方がわからなかったり、専門知識がないために間違った方法で支援を受けていたり、そもそも支援の存在自体を知らなかったりする人は少なくない。そのために適正な社会保障を受けていない人が、現実には多いのだ。
社会福祉士は、福祉の総合窓口として、それらの人々と福祉サービスの現場との橋渡しをする。したがって、具体的な仕事内容は、所属する職場によって少しずつ違う。
たとえば、高齢者福祉施設や障害者福祉施設では、生活相談員や生活支援員として介護や自立についての相談に応じる。さらに介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格をとって、ケアプランの作成に従事している人もいる。
また、全国には100か所以上の障害者生活支援センターがあるが、そこで障害者の生活支援に当たるのも社会福祉士の仕事である。障害者本人やその家族が抱えている問題を、ともに考え、解決法を模索していくのだ。
都道府県の社会福祉協議会で、ボランティア活動や福祉研究会をサポートしたり、福祉サービスの企画を行ったりと、地域福祉の充実に貢献する仕事もある。児童相談所や母子福祉センターでは、問題を抱える子どもたちの状況を把握し、学校などの関係機関と連絡を取り合いながら、子どもとその家族によりよい支援方法を考えていく。また、自治体の福祉事務所では相談窓口を担当し、情報の提供やアドバイスを行っている。このように地域の人々に関する福祉サービスの専門家は、コミュニティソーシャルワーカー(CSW)と呼ばれる。
病院や保健所で働く社会福祉士もいる。その場合は、「治療を受けたいが医療費の支払いが困難」「退院後の生活や社会復帰に不安がある」など、患者からのさまざまな相談を受け、一緒に解決法を見いだしていく。この仕事はとくに医療ソーシャルワーカー(MSW)と呼ばれ、病院によっては専門の部署を設けているところもある。
ちなみにこれらの仕事は、それぞれの職場で働く人なら、資格をもっていない人でも「してはいけない」ということはない。社会福祉士は医師や弁護士などの「業務独占」とは違い、「名称独占」と呼ばれる国家資格だからである。たとえば医師免許をもたない人が医療行為をすれば法律違反で罰せられるが、福祉の相談はだれが行っても罰せられることはない。
しかし実際は、福祉相談の仕事をきちんと行うには高レベルの専門知識や福祉への理解が必要である。
社会福祉士とは、これらの能力が認められた専門家であると証明できる有資格者だ。相談をする側も、相手が社会福祉士であれば安心して、適切な支援と社会保障が期待できる。
そのため、福祉の現場において、相談業務は、ほとんど社会福祉士の有資格者に任されるようになった。少なくとも中心的な業務を行う人は、すべて社会福祉士であると考えてよい。
今後、この分野の仕事をしようとする人にとっては、社会福祉士の資格は必須のものとなるだろう。