精神保健福祉士は、1997（平成9）年に精神保健福祉士法によって定められた国家資格だ。たとえば精神科においてソーシャルワーカーとして働くなど、精神障害に関する専門的知識や技術をもって、対象者の社会参加や社会復帰に向けたサポート活動を行う。医療機関や施設などで精神面の治療を受けている人が社会復帰を図ろうとする際、助言や指導を与えたり、日常生活への適応のために必要な訓練などを担当する専門家だ。たとえば退院後の住居や仕事の相談にのったり、どんな支援制度があり、どう利用すべきかをアドバイスしたりする。また、規則的な生活をし、金銭を自分で管理し、掃除や洗濯、買い物などが行えるようサポートをすることも仕事の一つだ。家庭、職場、学校など、周囲との連絡調整や手続きなども行ったりする。

職場は、精神科医院や総合病院の精神科、保健所、保健福祉センター、デイケア施設など。生活訓練施設や、自立援助を目的とした施設や精神障害者小規模作業所などで働く人もいる。2025年から始動した「こども家庭ソーシャルワーカー」認定資格においても、精神保健福祉士は取得の基礎資格となっている。

現在、日本では精神に障害のある人の入院が長期化し、社会復帰を望んでも機会がなかなか得られないことが、問題となっている。

精神保健福祉士の使命は、まさにその現状を改善していくこと。医療現場や自治体などは、常に精神障害者の社会復帰という課題を抱えており、有資格者が必要とされている。期待もやりがいも大きい職業だ。

精神保健福祉士になるには、国家試験に合格することが必要だ。

試験では精神医学などの高度な専門知識が問われるため、大学や専門の養成機関で、所定の科目を修めることが条件。短大などで学んだ場合は、卒業後に一定の実務経験が必要な場合もある。条件は学校によるので確認しよう。

まずはそれらの教育機関に進学することが、資格を得る第一歩だ。