人間関係や自分自身の生き方などに悩む人たちの相談にのり、悩みの原因を探ったり助言を与えたりして、問題解決に導く相談やカウンセリングの業務には、さまざまな職種がある。
そのなかで臨床心理士は、臨床心理学という体系的な学問を裏付けとして相談業務などを行う“心の専門家”の民間資格だ。1988(昭和63)年から、(公財)日本臨床心理士資格認定協会が、資格認定を行っている。
たとえば、心療内科や精神科などで、医師の診療をサポートするのも臨床心理士の役割。医師が臨床心理士の資格をとり、心の問題を抱えている患者のために、臨床心理学の手法を活用する例も多い。
さらに、学校や教育相談室などの教育分野、保健所や児童相談所、心身障害者福祉センターなどの保健・福祉分野、少年院や刑務所などの司法分野、企業の健康管理センターやハローワークなどの産業分野にも、活動の場を広げてきた。
なかでも教育分野では現在、臨床心理士が果たす役割が非常に大きい。昨今、いじめや不登校など問題を抱える児童生徒が増加していることから、文部科学省は学校におけるスクールカウンセラーの活用に取り組んでいるが、その8割以上(約5,000人)が臨床心理士の有資格者となっている。
2024年現在、認定された臨床心理士総数は43,083人。前述した通り、医療や福祉・教育の現場で、専門家として心の問題に取り組んでいる。
ただし、臨床心理士資格は医師や教員のような「免許」とは異なる(この点は前項の公認心理師も同じ)。心のケアを求める現場のニーズが高い反面、心理専門職の雇用体制はまだまだ整備の途上にある。重要な役割を担う仕事であるだけに、今後、資格の社会的認知と法整備がいっそう高まるよう、期待されている。