これまで、介護福祉士になるには、国家試験に合格する方法と、指定された養成施設で所定の教育課程を修了する方法があった。後者の場合、養成施設として認められた短大や専門学校、大学などで2~4年制のカリキュラムを修めれば、卒業と同時に無試験で資格が取得できた。
しかし、2007(平成19)年の「社会福祉士及び介護福祉士法」改正によって、資格取得方法が変更され、“すべての者が国家試験を受験する”という形で、資格の取得要件が一本化された。
2023年1月に行われた国家試験を機に、以降、介護福祉士の資格を得るには、必ず国家試験を受験しなければならない。
現在は、制度の変更に伴う特例として2027(令和9)年3月までに養成施設を卒業する人は、卒業後5年間は介護福祉士の資格を得ることができる措置がとられている。
ただ、国家試験が必須になったからといって、資格取得が特別に難しくなったというわけではない。ちょうど医師や看護師などの医療系資格と同様に、決められた課程を修了した後で国家試験を受ける方式になっただけのことだ。養成課程でしっかり学べば、合格は難しくないはずである。
一方、実務経験に基づく国家試験受験には、2016(平成28)年度から、3年以上の実務経験に加えて450時間の実務者研修を経る、という条件が加わった。この研修時間により以前に比べ受験条件のハードルがあがったことも影響したのか、2017(平成29)年の国家試験では実務経験に基づく受験者が半数近くに減少した。
今後は、実務試験による資格取得も、初任者研修から介護福祉士、さらに経験を積んで専門性の高い認定介護福祉士へとステップアップできるよう、制度を整えていく構想がある。その一環として、介護福祉士国家試験の試験問題を3分割して分野単位での合格を認める、という試験制度の見直しが検討されている。たとえばA分野、B分野、C分野のうちAとBは合格だがCだけ合格規準に達しない場合、翌年度に再受験する際はC分野だけを受験すればよい、というものだ。働きながら学ぶ人や外国籍の就労者に向けた配慮で、2025年度(2026年2月実施)からの導入をめざしている。
以上のように、介護福祉士の資格制度は、いまも変更の途上にある。介護福祉士を志望する人は、志望校のオープンキャンパスに参加するなどして、先生や経験者によく相談し、資格やその取得方法に対する理解を深めるとよいだろう。
国家試験の受験に必要な実習には、医療的ケアの領域が増え、専門性が増している。もちろん、資格取得後も勉強が必要だ。
現実の介護の場面では、いろいろなハプニングや問題が生じる。それらの問題に臨機応変に対処しながら、学び続けていく姿勢がこの仕事には必要である。このことは、「社会福祉士及び介護福祉士法」のなかでも介護福祉士の責務として明文化されている。