図書館で本の収集、整理保存をしたり、利用者への書籍の貸し出しや読書案内を行ったりするのが司書の役目。
具体的には、①図書館資料の選択、発注および受け入れ、②図書館資料の分類、目録の作成およびデータベース構築、③図書館資料の検索、貸出返却業務、④利用者の問い合わせに対するレファレンスサービス、⑤読書活動を推進するための各種イベントの企画・立案・運営、⑥巡回図書館など、図書館外での図書サービスの展開などとなっている。
情報通信技術の発展により、最近は何か知りたいこと、調べたいことがあれば、すぐにネットを検索するという人が増えている。しかし、文部科学省が3年ごとに行っている社会教育調査によれば、図書館の数は増加傾向にあり、職員および司書数も増加傾向にある。図書館自体も電子化が進んでいるので、今後、情報の蓄積や検索を行う専門的な知識を持った司書が果たす役割はますます重要になってくるだろう。
この司書資格の取得方法は主に3つある。まず、通信制・夜間・科目等履修を含め、大学や短大で司書資格取得に必要な科目を履修し、卒業する方法。履修すべき「図書館に関する科目」は、必修科目と選択科目あわせて13科目24単位以上だ。必修科目は、図書館概論、生涯学習概論、図書館情報技術論などの基礎科目、情報サービス論、児童サービス論などの図書館サービスに関する科目と、図書館情報資源に関する科目となっている。
資格取得方法の2つめは、大学・短大、高専卒業後に司書講習を受ける方法。3つめは、司書補資格を取得した後、3年以上実務経験を積み、かつ司書講習を修了する方法だ。
司書講習は毎年7~9月頃に全国6校ほどの大学で集中講習の形で実施され、図書館に関する専門科目を学ぶ。なお、大学で図書館に関する科目の単位を一部取得している場合、修得した単位の証明書を提出すれば、司書講習で受講免除科目として認定される。
一方、司書補の資格は、高校卒業後に司書補講習を受けることで取得できる。司書の講習と同じように、毎年7~9月にかけて全国の3校ほどの大学で集中講習形式で開講される。受講を希望する場合は、受講を希望する大学に直接申し込む。
しかし、司書(補)の資格を取得したからといって即、司書になれるわけではない。正確には“司書になるための資格”ととらえておくほうがよいだろう。現時点では、国立国会図書館をはじめ、多くの図書館職員の採用条件に「司書(補)」資格は挙げられていない。つまり、司書資格がなくても図書館で働くことは可能ということだ。ただし、各自治体が運営する公共図書館や、国公私立大学にある附属図書館では、司書資格を持った人を優先的に採用しているところもあるので、図書館職員をめざすなら資格を取得しておくことをおススメする。
国立大学や高等専門学校の附属図書館で働くことを希望する場合、第1次試験として教養試験が行われ、受験申込時に北海道、東北、関東甲信越、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州の7地区から1地区を選択する必要がある。その後、第2次試験は各大学等で行われる。一方、私立の学校は、各校が独自に採用試験を行っている。