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人間の生命と生活は、海洋だけでなく陸地にも支えられています。陸上生態系は森林や草原、砂漠など様々な地形から成り立ち、これらは私たちの職、食糧、燃料、医療品などの供給源となっており、人々の生活には欠かせないものです。
加えて、重要な経済資源・開発の段として農業に依存しています。きれいな空気と水を提供するだけでなく、気候変動への対処においても不可欠な役割を担っています。
その一方で、産業の発達による都市化や農地など土地利用の転換、違法伐採などさまざまな理由によって膨大な量の森林が減少を続けており、干ばつや砂漠化も年々深刻化しています。その影響もあり、世界では絶滅の危機に瀕している野生生物は約3万5000種以上にのぼると報告されています。人間の活動により、世界のあらゆる場所で生態系が危機にさらされ、将来的に多くの生物の住処を奪うことになってしまいます。
陸地の豊かさを取り戻すためには、森林の管理や砂漠化への対処、土地の劣化を食い止めて改善させるとともに、地球上の共通遺産の一部である自然の生息地と生物多様性の損失を軽減するための対策を早急に講じなければなりません。
PROJECT
日本大学の取り組み
生物資源科学部
島の生物を外来種から守る
島の生物は長い間競争がない環境で過ごしてきたため、人が持ち込む外来種に負けてしまいます。小笠原諸島では外来種が島の生態系を破壊しており、多くの島の生物が絶滅の危機に瀕しています。外来種を駆除する試みも始まっていますが、生態系に入り込んだ外来種を駆除しても、元通りに回復しないことがあります。島の豊かな生態系を元通りに戻すためには、常に状況をモニターし、必要があれば人が手を加えて治療する準備も重要です。森林学科では小笠原で外来樹種が侵入した森林の駆除後の変化を調査しています。この調査で得られた情報を行政や駆除事業と共有することで、豊かな小笠原固有の生態系を回復させることに貢献しています。
短期大学部(三島校舎)・食物栄養学科
伝統食材「芝川海苔」の保護・育成活動
静岡県富士宮市を流れる芝川には、朝廷や幕府に献上品とされていた「芝川海苔(学名:カワノリ)」という食材があります。これは、特定の河川源流域に生育する淡水緑藻類であり、環境省レッドリストで絶滅危惧種に指定されている希少価値の高い食材です。古くから地元特産物とされてきましたが、近年では種々の理由により生育場所が荒廃し、その採取量は減少しており、特産品としての商品化が困難な状況です。地域で産出される貴重な特産物である「芝川海苔」を郷土の宝物として保護・育成することによって、生育環境調査や養殖実験、栄養成分分析やレシピ開発など、地域資源の活用による地域活性化のために利用することを目的としています。